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by murkhasya-garva
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ピンクリボン

「ピンクリボン」(2004)
ピンクリボン_b0068787_1202760.jpgピンク映画の40年を、関係者のインタビューを通じて描き出したドキュメンタリー作品。今でも単館に数少なくも配給されることがある。その中で、女池充監督の最新作、「花井さちこの華麗な生涯」のメイキングを交え、現代のピンク映画について、様々な角度から考察を加える。
シネ・ヌーヴォXで鑑賞。


映画好きが高じて以来、最近では大阪の単館や名画座にも足を伸ばすようになりました。中でも興味を引いたのが、ピンク映画の一般配給作品。最近は「たまもの」「かえるのうた」「花井さちこ~」などがあります。これらはDVD化も早く、「花井さちこ~」はレンタルして観たのだけど、やはりピンク特有の独特の違和感がある。井口昇監督の「恋する幼虫」や「卍」でも抱いた、この感覚は一体?
本作は、ピンク初心者のぼくにとって、ピンクをどう観るべきかヒントを与えてくれました。

別にピンクの熟練者になろうとは思いませんが、このピンク映画の持つ特徴はどうしても気になっていました。全体的なチープさ、不自然なほどの濡れ場の多さ。これらはピンク映画というジャンルそのものに理由があるようです。つまり一言で言えば、映倫との戦いとの結果だということでしょう。他にも、低予算であるとか、撮影技術がどうこうというのは絶対にあると思いますが、まずは映倫の問題ありき、と。

濡れ場にしても、リアルに見せてはいけないし、俳優さんの演技が上手すぎてもいけない。しかし、濡れ場は出来るだけ多くしたいし、扇情的なものにしたい。基本的にAVとは違うのです。また、どこにでも看板を置けるわけではないから、タイトルも扇情的なものにせざるを得ない。
・・・そんな事情を知ると、ピンクの「エロ」としての期待は、にわかに薄れてしまいます。実際に観ると、それがいっそうよく分かりますね。

また、ピンク映画は、濡れ場さえ撮っておけば他は何でもやっていい、と言われるそうです。そのため結果的に、作品には監督の思想が入ってくることになる、と。でも個人的には、どんなにメッセージ性の強い作品でも、演出がキビシイ作品は、はっきり言って観るのが苦痛です。わざわざ監督のメッセージを読み取りにピンクを観に来るのは、物好きか変人でしょうね。
「ピンク観に来る人もいれば、『映画』を観に来る人もいる」。つまり、後者は物好きです。たとえばキネマ旬報に「ピンク映画時評」を連載している切通理作氏もその類か。

とはいえピンク映画は、今では有名な監督が通ってきた道でもあります。黒沢清(「アカルイミライ」)、井筒和幸(「パッチギ!」)、若松孝二(「天使の恍惚」)、彼らの軌跡をたどるとともに、「映画」が一体どういうものなのか、を知るためにはピンク映画鑑賞も必要か知れません。
ただ、ぼくはもうエロとして観ることはないだろうな…(笑
by murkhasya-garva | 2006-09-03 01:22 | 映画