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by murkhasya-garva
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笑う大天使

「笑う大天使」
笑う大天使_b0068787_2251740.jpg
最近はコミックの映画化が非常に多いようです。今回は少女マンガで有名な川原泉の作品を実写化。予告編で何だか華やかで良さげな印象を持ったので、知人に誘われた際に観にいきました。良作が多い今夏、本作は評価されるだろうか?
(今回全く褒めません。ご注意を…)


こっ、こ、こ、こんなの配給するなー!!
何度途中で席を立って出て行こうと思ったか。アゴが外れるような脱力感、観客無視のCGのラッシュ。取って貼っつけたような安っぽい展開。いくら少女マンガだからといって、ここまで分かりやすくして良いんでしょうか(褒め言葉ではない)。きょうび小学生でも騙されません。
高校の文化祭で見た、チープ感丸出しのCG映像を見たときぐらいショックを受けました。あまりのショックの大きさに、頭を抱えたり怒りに震えたりと、いや本当に大変でした。

この作品の特徴は、怒涛のCGラッシュにあります。聖ミカエル島がフルCGなら、主人公たちの特殊能力もCG。学園に出没する黒犬、ダミアンまでもフルCGなのには驚きました。というのも、本作の監督を担当したのは、TV「ごくせん」「火垂るの墓」などのVFXを手がけた小田一生。彼の采配をもってすればあらゆるものがCGへと姿を変える。
そう、必要なものも不必要なものも。

CGには、映像で実写化できないものを補う役割があります。実写化できないものばかりの本作は、CGを使うのに格好の作品だったわけです。それで前半では、明らかにそれだと分かる映像に溢れ、それはそれなりにホワホワした雰囲気に合っていたのですが…。
特に後半にかけてチープさが際立ってきます。およそ最新技術とはかけ離れたぎこちなさ。映像効果を駆使しているはずなのに、肝心のところではパッとしないし、リアリティーもない。

しかも、観る側に配慮のないストーリー展開。超お嬢の高校生たちが超能力を得て、悪の組織と戦うことには、何の説明もない。徹底したご都合主義に、お寒すぎで開いた口がふさがりません。

しかし、徹底してCGのチープさを出すことで、何かを狙っているのでは?という視点も否定できません。例えば、主題に関わるキャラ―ダミアンや、巨大化する上野樹里―には、「奇跡」という宗教的な要素が含まれます。そこで宗教くささを一掃するために、敢えてCG化したのかも…。
一方でアクションシーンは、その稚拙さから目も当てられない状態になっている。ここが見せ場だとするなら台無しです。そんな監督が宗教性うんぬんを意図したとは到底考えられない。
すなわち、CGの多用は単なる「節操のなさ」だとしか言えないわけです。

小田氏にとってはこれが初の監督作品。よほど原作が好きだったのか知りませんが、客に見せることを意識していない、ただの自己満足か、内輪受け作品にしかなっていません。
「純文学を書けるほど、厚みのある人生を送ってはいませんから」
監督の精一杯の自嘲です。上映するくらいならもう少し検討すべき。…言い過ぎたかな。

あ、主人公の上野樹里や関めぐみ、平愛梨など女優陣はさすがにかわいらしいですね。男装の麗人など少しうっとりしました。彩りがキレイなのが注目どころです。言い訳がましいですが。
by murkhasya-garva | 2006-08-10 22:54 | 映画