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by murkhasya-garva
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<惑星★Night>不思議惑星キン・ザ・ザ

「不思議惑星キン・ザ・ザ」(1986)
<惑星★Night>不思議惑星キン・ザ・ザ_b0068787_175060.jpg「惑星★Night」の4本目のこの作品、朝の4時半ごろから始まったというのに、2人の男の「クー!」に一発で目が覚めてしまいました。シュールで強烈なインパクトを持ったこのポーズは、20年近く経った今でも全く色褪せることがありません。
日本では1989年に公開されて以来、SFファンはもとより一般の人まで巻き込んで大賑わいだったそうです。

妻にマカロニを頼まれたマシコフが街へ行くと、1人の青年に声をかけられる。「自分を宇宙人だと言っている男がそこにいるんだけど…」。裸足で震えている男が持っていた、「空間移動装置」なるもののボタンを押すと、ウラジーミルは青年と見知らぬ砂漠の真ん中に立っていた・・・

3本目の「ファンタスティック・プラネット」が、悪夢に近い想像の世界を描いたのに対し、この「不思議惑星キン・ザ・ザ」は、パラレルワールドのような世界を作り上げています。このプリュク星では階級主義や人種差別が根強く残り、当然ながら主人公も巻き込まれることに。

どうやらステテコの着用が高い位を表しているようで、「黄色いステテコ様」「赤いステテコ様」には2回「クー」をしなければいけないのです。それにパッツ人はチャトル人の前でツォーク(鈴のついた鼻輪)をつけなければいけないし、演奏するときにはオリの中に入らなければならない。・・・さっぱり訳が分からん。
訳が分からない規則をまじめに守れば守るほど、こっけいに映ります。笑えます。

しかし、このシュールな設定の中に社会風刺が含まれていることは言うまでもありません。主人公たちが母国の習慣とプリュク星の習慣を混同し、プリュク星で出会った2人の男を懐かしむのは、場所こそ違えど「同じ」国であったからです。キン・ザ・ザ星雲での情勢は、地球のそれと鏡合わせの関係にあるのです。

グルジア出身のゲオルギー・ダネリヤは強烈な風刺画を仕立て上げたようですが、さすがにここまでやれば政治情勢に聡い批評家たちから不評を買うのは仕方のないことかもしれません。しかし時を経ると思想背景も段々と忘れられ、若い年代層にもナンセンス、シュールの類として受け入れられるのでしょう。
まあそんなことを抜きにしても、十分笑って楽しめる作品だと思います。
個人的には、今回のオールナイトで一番のお気に入りです。
by murkhasya-garva | 2006-06-30 01:13 | 映画