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by murkhasya-garva
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愛より強い旅

「愛より強い旅」
b0068787_1884836.jpg
フランス映画界の今をときめく若手俳優、ロマン・デュリス主演作品。
彼の作品で観たのは「真夜中のピアニスト」「愛より強い旅」「ガッジョ・ディーロ」。男前でその若さゆえに悩み、迷う姿が似合う役柄のイメージが強い。
「ルパン」観とけばよかった~。


パリに住むジノ(ロマン・デュリス)は、自分のルーツであるアルジェリアへ行くことを思い立ち、恋人のナイマ(ルブナ・アザバル)と旅に出る。わずかな荷物で行く7000キロの道を、民族音楽と共にたどる。

思わず旅に出たくなるような作品。異国情緒が漂ってきます。行く先々での人との出会いを楽しむ魅力が良く伝わってきます。だからこそカメラは笑顔を映し出すことが多く、後ろの風景も鮮やかに見えるのでしょう。ツアーでは決して味わえない貧乏旅行ならではの魅力ともいえます。

密航したり、国境を越えられず手前で引き返したり、恋人とケンカしたり。何が起こるかわからない2人の道行きに飽きることはありません。ナイマは14歳から放浪生活を続けていて自由奔放。ジノがダンスに見入っている間に地元の男と寝てみたり。光の点る町を背に、暗闇を歩くジノの姿が何ともあわれ。
それでも2人はすぐに仲直り。果実をもてあそんで挑発しあうところはエロティックですね。

言葉で多くを語らず、2人の表情や仕草で心情描写がされる。また、ストーリーの構成に重点をおくのでなく、旅先のハプニングを道行きに従って無理なく映しているのが新鮮です。こういうのは映像化されてこそ、楽しさが伝わる。というのが前半の流れ。

対して後半は各人の内面に焦点が当てられます。疲れやあせりも手伝ってナイマの表情が変わってくる。民族性の違いが自分のアイデンティティを揺るがすのだろうか。ナレーションでの独白が目立ち、映像も工夫されてくる。「疎外感がある」という彼女の台詞は、光を失った瞳や、爪を噛む姿が良く語っています。
自分自身と相容れない世界に身を置くと、ああやって自分を見失ってしまうものなのだろうか。

そして目的地のアルジェリア。ジノもナイマもルーツを見出し、自ずと輝きを取り戻します。ここで注目しておきたいのがラストの踊り。ゆうに10分もかけて、しかも多分これはノーカットだろう、延々と彼らが陶酔していくさまが映し出されます。途中で寝てしまいそうなシーンを何故わざわざ最後に持ってくるのか。監督の熱意が込められていそうな気がする。恐らくこれこそが2人の旅の終着点なのだろう。過去の傷を清め、自分の根幹を地固めするためのイニシエーションを通過してこそ、彼らは将来を生きてゆける。

各地域の風景をおろそかにせず映し出し、異国への旅の魅力を伝えると同時に、若者にルーツを持つことの大切さを静かに語る。良い映画です。「モーターサイクル・ダイアリーズ」も良かったがこれもいい。監督はジプシーの映画を多く撮っているとのこと。彼ならではの魅力も出ているのではないでしょうか。
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by murkhasya-garva | 2006-01-31 18:11 | 映画

はなればなれに

実は、4本目の「5時から7時までのクレオ」はラスト30分で沈没してました。
そんなんじゃ感想かけないので。あしからず。
「はなればなれに」
b0068787_17231023.jpg1月21日、京都みなみ会館でのオールナイト3本目。2本目「女は女である」に続いてこれもゴダール作品です。というか3本目でゴダールは正直きついな~とか思ってた。前2本との共通ワードは青春映画、ゴダール、アンナ・カリーナ、作中の「シェルブールの雨傘」の音楽。

フランツとアルチュールは、フランツの旧友であるオディール(アンナ・カリーナ)を目当てに足しげく英語教室に通っている。ある日、オディールの家に大金が隠されていることを知る。その大金を手に入れるべく3人は計画を立てる…


ゴダールの作品は、必ずしもエンターテインメントを目的として作っているわけではないようです。しかも先が読みにくく表現も理解しにくいものだから、論客が触発されて何やら映画論をぶち上げる気にさせられる。言葉の意味は分かるんだけど、どういう流れでその状況に至っているのかが分からなかったりします。

そんな難解な作品群のなかで、とても分かりやすい。心情表現に重点が置かれているからか。それともドラマティックな展開だからか。ここでもさあ解釈してやろう、などと鼻息荒くしていたら肩透かしを食らい、なんだか空しくなってしまいます。
出来れば映画はあくまで楽しんで観たいもの、ということを忘れがちです。

出てくる3人は、若者らしくその場の感情で行動しています。とても刹那的で散漫な彼らの行動は、その中に一貫した漠然とした思いが存在するようです。それは、その場に足が着いていないような不安定感。何かをしなければ落ち着かない感覚。
例えば自動車を男二人で好き勝手に乗り回すシーン。例えば喫茶店でジュークボックスをかけてダンスに興じるシーン。時に悪ノリとも見えるのが逆にほほえましくもあります。しかし「若者=エイリアン」として観ると、周囲から浮いた異様な光景とも言えますね。

しかも3人ともお互いから「浮いて」いる。フランツはいちゃいちゃする2人の間に入れず孤独を募らせ、オディールはフランツに目もくれず惚れた男にベタベタ。終いにアルチュールは誰にも関心なんか持っちゃいない様子。友情も恋愛もあって無きが如し(少なくともそう見えた)。まさに「はなればなれに」ですね。

また、製作年代が古いのもあってものの考え方が結構違う。女は身持ちが固いし、男はやけにキザっぽい。その一方で彼らの価値観はリベラルでもある。あけっぴろげすぎて不自然なくらい。愛や性関係に関して一種の「文法」が固定してしまった現在には、むしろ新鮮にも思えます。
監督が意図的に描いたのか、その当時の姿を映し出したのか。

初めてだったのが、ナレーションで心情描写を語るときにわざわざ断りを入れるところ。映像だけでは表現しきれないから補足しますね、みたいでユニークです。今では普通に行われることが普通に行われない。もし心情描写のナレーションが今までの作品には無かったとすれば、ゴダールはこのように観客と「対話」する形で、映画の手法を独自に模索していたのかもしれません。

一昔前に描かれた若者像は、現代に生きる者にとっても共通するところはあります。しかもドラマティックで分かりやすいと来たもんだ。「勝手にしやがれ」の次に観たい作品。
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by murkhasya-garva | 2006-01-30 17:25 | 映画

女は女である

昨日、今日と合わせて9本の映画を観たことになる。さすがにしんどい。。
眠気を紛らすためにEMINEMにFATBOY SLIMだの聞くものだから、気がささくれ立ってしょうがなかった。ノリはすごく良いんだけどね。ふらふらする。

「女は女である」
b0068787_0593173.jpg1月21日オールナイト2本目。次はゴダール作品。1本目との共通点は恐らく往年の若者の恋愛感覚を描いた作品だ、ということでしょう。これまたゴダール作品ではコミカルな部類に入るので、比較的観やすいです。けど、間の分からない音楽と静寂の繰り返しは神経を疲れさせるし、単調な日常の描写は、いくらコミカルでも限界がある。

キャバレーで働くアンジェラは、付きまといのアルフレッドや恋人のエミールと共に無邪気にふざけて日々を過ごしている。そんなアンジェラにも悩みがある。エミールが子供を作ることに賛成してくれないのだ。


ここでは、アルフレッド役に「勝手にしやがれ」の主役を務めたジャン・ポール・ベルモンドが出演してます。脇役ですが、彼の特徴的なにやけ面がいかにも遊び人な雰囲気で適役です。特にアンジェラとのカラミに注目。アパートの前での真似っこの何シーンかは取って付けたような感じがします。コメディのネタの「引用」なんだろうか。

まあ全編を通して軽妙というか、からかい、おふざけ、おちょくり、茶番といった表現が似合います。面白いことは面白いのだが、多少くどすぎるような気もする。これがゴダール一流の実験的作品(?)か。いろいろアイデアを使って、コメディとは何かを模索している。のかも。

アンジェラが子供を欲しいと真剣にエミールに言っても、決まってはぐらかされやきもきする。それこそやることやってしまえばいいのに何故かそこに至らないんです。代わりに、お互いに意地張ったりちょっかい出したりしてばかり。挙句の果てにはエミールが「誰か俺の妻と寝てくれないか」なんて言い出す始末。この二人の妙な食い違いこそが作品のコメディたるゆえんだ、とも言えるでしょうね。

アンジェラを演じるアンナ・カリーナは美人ですね。カトリーヌ・ドヌーヴのような輝く美しさとは違うけど、ツリ目で三白眼の彼女は何だかエロティックな雰囲気があります。そんな彼女が、恋人が外出したドア越しに「愛してる、愛してる…」というのもまたキュートです。
キャバレーでの歌も必見。曲と歌が交互に挿まれるのですが、違和感を持つのは初めだけ。いつの間にか耳にこびり付いて離れなくなります。

観ていて途中で多少退屈するかもしれません。けど、こんな映画もあるんだというのを知る上では新鮮で面白いのかも。昔の作品(チャップリンとか)が好きなら観るべき。
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by murkhasya-garva | 2006-01-30 01:02 | 映画

シェルブールの雨傘

今日は先週に引き続き京都みなみ会館にてオールナイト。
‘<ジプシーの音楽、そしてガトリフ=ロマ=クストリッツァ>ナイト’と銘打って4本立てです。
ラストショー2本と加えて、一日で6本はさすがに初めて。

「シェルブールの雨傘」(goo映画情報サイト)
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去る1月21日に京都みなみ会館でオールナイト‘<ルグランの音楽、そしてドゥミ=ゴダール=ヴァルダ>ナイト’が行われました。
その中の1本目。女優であまりに有名なカトリーヌ・ドヌーヴ主演のミュージカル。
世界初のミュージカル映画のようです。
とりあえず褒めますよ。




ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は傘屋を営む母と生活する若い娘。彼女は自動車整備工のギイと愛し合う関係にあった。しかしギイは徴兵され、3年は帰ってこない。傘屋は多額の借金を抱え、首が回らなくなっていた。そのとき宝石商の男性から救いの手が…

音楽も美しければその歌声も素晴らしい。最初から最後まで美しい調べが緩急をもって流れ、まずもって意識が飛ぶことはない。現代の人々にとって際立つようなひねりもなく、ある意味で直球のストーリー。誰にでも想像できそうな内容なのに、何故こんなに切ないんだろう。

それはこの作品が当時の粋を凝らしたものだからでしょう。恐らく当代のスター、カトリーヌ・ドヌーヴが世界初のミュージカル映画を熱演とあっては、相当な力作となることは間違いありません。実際に観てください。目の覚めるようなブロンド、透き通るような白い肌。美しい声で若い恋を切々と歌う。そこで語られる恋愛劇は、ドゥミ監督の炯眼に切り取られた世代感覚で織り成されたものなのかもしれません。

また、得てして一昔前の傑作は、今後数十年もの時を経ようとも色あせるものではありません。それは、時代が若い頃の映画があらゆる点でシンプルだったからです。そのシンプルさは、つまり近代社会に生きる人々の心理に通底するものであり、ほぼ全ての人々に共感を得ることができるであろうものなのです。
シンプルな要素をシンプルかつ十分な表現で表された映画。それが今回挙げる作品です。

そのシンプルな要素とは、恋愛観。
うろ覚えですが、自由恋愛が通用しだしたのは近代からです。それまでは恋愛と結婚は必ずしも相容れるものではなかった。好きな相手と結婚できるという希望を抱いて、若い世代が恋愛を謳歌していたはずなのに、やはり家庭の問題はどこかで引っかかる。意に沿わぬ結婚でも、しなければならないことがある。しかし結婚生活もまた、幸せなものだ。そこで、主人公のジュヌヴィエーヴとギイが知ったのは、「恋愛と結婚は別」だということなんですね。

決してハッピーエンドで終わらない二人。ほろ苦く切ない感覚で、観客は主人公と自分を重ね合わせるのかもしれません。この映画は、現代の若い世代にも通用する、いわば恋愛劇の理想形ではないでしょうか。こんなロマンチックな作品、観るなら好きな相手とがいいですね。
野郎1人で観にいくのは、周りの雰囲気からもキビシイものがあるわ・・・
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by murkhasya-garva | 2006-01-28 18:30 | 映画

混乱

正直なことを言おう。
映画について何やかやと書いてきたが、最近どうもしっくり来ない。
自分の思ったことを上手く言葉に出来ないし、納得のいくような言及ができない。
とりあえずUPは続けていくつもりだけど、この違和感をどう整理するか。

「面白かった!」「クズ!」と端的に感想を書いたほうが分かりやすいと言われる。
しかしもっと映画を作品として切り分けたいのもある。
そこでわっけの分からん駄文が生まれるわけだ。
同じことを書いたり。分かりにくい表現したり。関連情報ばかりムダに詰め込んだり。
結局何がしたいのか分からん。

早く決めたほうがいい。
さもないと自己満ブログになりそうだ。
(前々から言ってた気がするが)
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by murkhasya-garva | 2006-01-28 02:17

さよならみどりちゃん

ああ、一時間遅れた~。。連日upの秘かな目標は勝手につぶれました。
明日1月28日から2日間、京都宝塚劇場、京都スカラ座、京極東宝の3つの映画館がラストショーを行います。古典的作品のオンパレード、どれを観ようか迷いますが、明日は邦画オンリーで攻めることにします。早く寝て英気を養うぞー

「さよならみどりちゃん」
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原作は南Q太の同名作品。原作は読まずに観にいきました。そしてマンガを購入っと。
このところよく西島秀俊出演の映画をよく観るような気がするんだけど。とは以前言ったっけ。オダギリジョー、浅野忠信ほどではないけど。


主演は星野真理。映画初出演でその演技の瑞々しさが評価され、ナント五大陸映画祭で主演女優賞受賞。以前明石屋さんまのバラエティに出てて泣いていた。って泣くなよ。

ユタカと初めてセックスした日、彼にみどりちゃんという彼女がいることを知った。ユタカの電話番号も知らないし、恋人じゃないといわれても、ユタカのことは好き。優希はユタカの彼女になりたがってるし、たろうはゆうこのことを好きだと言ってくれてるんだけど・・・

原作を読んで、映画のほうが洗練されている、という印象を受けました。ユタカとゆうこの関係に焦点を当てて、さらに各エピソードをより現実的に構成しなおした結果、感情表現が良く伝わる切ない映画になったんだと思います。だからこそ、脇役、つまり新人アルバイトのみどりちゃんやタロウのインパクトは適度に抑える必要があったのかも。

「ゆうこさん、美人っすね~」と劇中で言われても、個人的には岩佐真悠子の方がタイプなのでどうも…。というのはどうでもよくて。ユタカを好きだ、という裕子の気持ちが募るシーンがとても切なくて、グッときました。映画初主演の星野真理は、自然にその場に入り込んでいけるようなさりげない演技のできる女優。戸惑った微妙な表情や、少し間を外れるような会話がとても新鮮です。

時間が経つにつれ、ゆうこが次第に強い態度に出るようになるとこに注目です。環境に慣れ、ユタカに業を煮やしたのか。酔っ払って昨日の晩の元彼女とのことを話すと、凄い目をして怒るし。ささくれ立った中に、相手を想う気持ちはそれでも強く残っているんだろう。ラストの「あたしのこと、好きになってよ」はあまりにも必死すぎて。観ていて泣きそうになる。

ラストも良かった。彼との関係も全部片付くのか分からないまま、終わる。その代わりに荒井由美の「14番目の月」を歌うというのがニクイですね。ノリも良くて。ストーリーにもよく合う。
日常系の恋愛映画が好きな方にぜひ見てもらいたい。こっちは若い世代向けです。でも「世界の中心で愛を叫ぶ」とは全然毛並みの違う映画ですね。(それにしても‘セカチュー’って。どういうセンスしてんだ)
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by murkhasya-garva | 2006-01-28 01:04 | 映画

輪廻

「輪廻」
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海外で邦画のリメイク「リング」が大ヒットした清水崇監督。今回は日本でホラーを手がけます。どのくらい怖いのか、と色々レビューを見ていたんですが結構評価が高い。そりゃ怖い作品は観に行かねばなるまい、ということで遅ればせながら。


杉浦渚(優香)は女優の卵。問題作を多く手がける監督に見出され、映画出演が決まる。作品は、実際にホテルで起きた惨殺事件をもとにしたものだ。しかし出演が決定してからというもの、渚の周りでは奇妙なことが続けて起きるのだった…

まず一番の見所は全体の構成もさながら、それを支える優香の演技だと思うんです。特に後半、現実とも夢想ともつかない世界に迷い込み、怯える姿といったらありません。ただただ追われる者の恐怖。それは声にしたくても出来ない、息の詰まるような感覚です。ほんとに彼女の絶叫を聞くだけでも怖い。ガクガクブルブル、優香がパニクりすぎて焦点合ってないよ!!
あと、本棚の隙間から死霊が見える瞬間、隣で観ていた友人はものすごい勢いでビクーッとしていました。怖いはずなのにそっちに気がいって笑ってしまった。。。

最近のホラーの有名どころはあまり観てませんが、どうも死人が蘇ってくることがやっぱり1つのポイントのようです。「着信アリ」「美しい夜、残酷な朝」の「box」のいずれも、死んだ“はず”の人間がこっち見てる。まあ効果的に動き出せば、こっちも煽られて良い感じにのめりこみます。
清水崇監督は、そこの使い方を心得ているんでしょうね。わざとノッペリとした不鮮明な映像で非現実感を表す。なぜか静脈を浮き立たせた死霊がすぐ身近にいる。何をされるのか分からないけど、近付かれるとやたら怖い。
ただ、死霊、ゾンビ、亡霊といった線引きがあまりよく分からなかったんだけど・・・。

ストーリーも案外つじつまが合っています。観終わったときは、いくつか理解できないところがあったのですが、よく考えると意味があるんですね。一見バラバラのエピソードが最後に絡み合ってくる。もちろんオープニングもただの導入ではありません。

そもそも扱うのが「前世」だから、というのもあって多少の「前提」はあります。その前提で理解できない点がある。まず「死霊と生まれ変わりは別物」、なの?
他にも、殺された人間の生まれ変わりは何らかの形で死んで事件現場に集うとか、当時の事件を再現するとか。犯人の妻だけが最後に全てを理解する、というのもよく分かりません。けどそれは得体の知れない世界だからこそ理解できないこともあるんだよ、ということなんだろうか。

そういう点になるとちょっとネタ自体がマニアックなことになるようで。オカルト話は詳しく知らないので、多分そういうこともあるんだろうね、という程度の理解しかできません。でも映画自体は怖さを十分に体験できると思います。ラストは意外な締め方でした。

もっとも、筋で疑問を感じたら怖さは半減です。でももう一回観にいっても怖さは半減するだろうし、もともと筋を知ってて観にいくと面白くないだろうし。。。微妙なところですね。
何も考えず観て下さい。それがたぶん一番効果的に観れる方法だと思います。
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by murkhasya-garva | 2006-01-26 18:17 | 映画

美しい夜、残酷な朝

「美しい夜、残酷な朝」
b0068787_17215285.jpgこの映画に惹かれたのは、香港、韓国、日本の3監督が手がけたオムニバスであり、そして出演にイ・ビョンホンや長谷川京子がいて、しかも作品の内容が結構えぐいらしいという噂を聞いたから(!)です。それにしてもやっぱ気になる映画はぜひ映画館で観たいものですね。。。


‘cut’:環境、才能に恵まれたリュ(イ・ビョンホン)は誰からも好感を受ける好人物。ある夜、帰宅した折に家で不穏な気配がする。バーナーの炎を浴び、目を覚ました時に見たのは…
‘box’:鏡子(長谷川京子)は冬の寒い町に住む小説家。彼女はいつも同じ夢を見る。幼い頃、父や双子の姉と過ごしていた頃の過ちに苛まれながら…
‘dumplings’:猥雑な住宅地。女優を辞めたリー(ミリアム・ヨン)は最高の餃子を求めにメイ(バイ・リン)のもとまでやってくる。その餃子は肉体を若返らせるという…

今回はタイトルのネーミングセンスが一役買っています。実は原題がどういうものか知らないんですが、邦題については詩的で、しかもその内容を端的に表しているようです。また各ストーリーがグロテスクだけでなく、「欲望」という人間の根源に関わるテーマを多角的に扱っているという点で非常に好感が持てます。

しかもこの長所はそれぞれの監督の特徴が十分に生かされたものであり(多分ね)、各人の得意技を扱ったものになっているのかも。
韓国の「cut」は、周りの「羨望」や「憎しみ」に曝されながら、リュ監督は極限状況に追い込まれてゆく。日本の「box」は、過去という悪夢、ゆがんだ愛情を抱く京子。
そして香港「dumplings」では人の浅ましい欲望を描き出します。
過去にこれらのネタは各国で多用されてきたことでしょう。(もっと言うと得意技、もとい副テーマはそれぞれの風土性に基づくものなのかもしれません)しかし今回はそれが洗練され、一貫したテーマを持って作られています。

それに安直なパターンに陥ることなく、登場人物の役割にそれぞれ意味を与えて内容を重層的にしている、というんでしょうか。そう思うと作品は面白さを増してきます。

特に面白いと思ったのは「dumplings」(餃子)。餃子の具が何かを分かっていて、なお若さを求める元女優の心境とは一体何なのか。若さを保つためには何でもする。体に異変が起ころうとも。その時点で彼女は人ならざる道を踏み出しているのかもしれません。
そしてメイとは一体何者なのか。人々に餃子を提供し、自分もその餃子を食べ、笑みさえ浮かべながら飄々とこの世を渡り歩く姿は、もう妖怪のようです。またそんな社会的背景とは?というかこのネタはどこから?都市伝説のようなストーリーは、この世の片側を見ている気にさせます。
何より直接表現がないのに注目です。適度に想像力で補わせ、異様な雰囲気を醸し出させます。料理でグチュグチャと立つ音。カットの連続による関連付けなど、とても効果的です。

三池崇史監督の「box」は他2作と比べ構成が少し違います。他の作品が時系列を辿ってるとすれば、これは記憶が複雑に絡み合い、夢と現実をない交ぜにした感があります。だからこそ、ラストのオチは、まさか!という気にさせられるんでしょう。
「cut」は複雑な要素を感じさせる2作品と一線を画し、ある意味ストレートな作品だとも言えます。追い詰められた人間の辿る末路を描くショッキングな内容となっています。また何が「カット」されたのか、それを考えるのも面白いでしょうね。

各作品が3作品中で独自の異彩を放っています。それぞれの持ち味を感じるだけでもこの作品は面白くなることでしょう。汲み取るところの多い作品として、この映画は質が高い作品と呼ぶことが出来るのかもしれません。もっとも、エグいのが嫌いな方にはあまりオススメはできませんが。
この作品を観た方の解釈をぜひとも読んでみたいものです。
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by murkhasya-garva | 2006-01-25 17:24 | 映画

夢のはなし

じゃあ今日は勝手に最近見た夢の話しますね。
別に映画のネタ切れじゃないんですが、まだ書き上げてないんで。

・場所は学部棟の屋内。
私の視界に、右寄り真ん中に柱を隔てて右端あたりに台が置いてある。
机の足元にある棚のような台。その上に紙のファイルがブックエンドの間に重なっている。
卒論だろう、と分かった。
少し動かすと表紙に名前の記された紙が貼ってあるのが見える。開けてみてもバチは当たらないだろう、と左端においてあるファイル(名前は知らない。恐らく一つ上の学年の人だろう)を手に取り、開いてみるととても薄い。十数枚しかない。
その隣のファイル(同学年のもの)は、二百数十枚もある。左斜め前から誰かやってくる。
その人もファイルをとり私と同じようにめくり始めた。ひとしきり見終わると2つのブックエンドに並べて直した。下から上に、ではなく今度は横に立てて並べた。

・誰かと談話していた。カフェのラウンジか。
私ははっと気付き、席を離れて右側のショーウィンドウに駆けよって、
「今日何曜日?土曜日か。もう一週間たったのかー?」と慌てる。
後ろにいる者たちが失笑するのではないかという予感を抱きながら。

・「いやそういえばさー、知り合いでここにスミ入れている奴がいて」
自分の下腹部から腰にかけて上向きのブーメラン状にになぞってみせる。
四人程度の集まりであった。それぞれの顔は確認できない。
「ここ、ここ」彼のへそから陰毛より上までの部分が目に入った。
なぜか、トライバルのような赤と黒に彩られた民族的なイメージを髣髴とさせた。
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by murkhasya-garva | 2006-01-24 20:55 |

いつか読書する日

ご無沙汰してます。時間もぼちぼちできてきました。
またできるだけ多くアップしてきますのでよろしくお願いします。

「いつか読書する日」
b0068787_0481593.jpg去年から観たいと思っていた作品。「オープニングから傑作の予感が・・・」という言葉に乗せられて、観にいったわけです。それに演技の上手い人が出るのはどんな作品でも観たいものですよね。
モントリオール世界映画祭で審査員特別賞受賞。



坂の多い小さな町で牛乳配達をする大場美奈子(田中裕子)は、日々を単調に過ごしてゆく。同じ町に住む高梨槐多(岸辺一徳)は病床にある妻の横で、毎朝美奈子が配達する牛乳瓶の音に耳を傾ける。三十年以上顔を合わせることのない二人は、ずっとお互いを想ってきたのだ…

こんなにも切ないラブストーリーは初めてかもしれない。
田中裕子の役作りが途方もなく良い。自ずと人を見つめるような眼差しの奥に秘めた強い意志。一見平凡な行動の中に確固とした信念を感じさせます。それに一つ一つの台詞が彼女の心の底から湧き上がっているようで。その真摯な言葉は見る者を揺さぶります。逆に彼女が動揺したときその平凡な行動は、糸がほつれるように、確かな崩れを見せるのです。

また岸辺一徳は、今まで仕事を冷静に遂行する事務職のイメージが強かったんですが、ここではその冷静な表情と裏腹に心の内の揺れるさまが強く表れています。病で死にゆく妻を看取りながら、それを打ち消そうとして一層仕事に身を入れようとする。しかし思わぬところで溢れる感情…。観ている者も締め付けられるような切なさに何ともいえなくなります。
もう、役者さんの魅力が随所にあふれ出していてそれだけでも感動してしまいます。本当に何気ない仕草に情感がこめられていて、彼らの人となりがよく分かる。それだけでもこの映画を勧める理由は十分なものです。

痴呆症にかかった真男を演じるのは「タナカヒロシのすべて」で父親役を演じた上田耕一。記憶が抜け落ちてゆく者のどこかしらうつろな表情が印象的です。彼の心中の言葉が、画面上に変形して表示されるのはユニークだなと思いました。

しかし、この映画の魅力は役者さんだけに限りません。「オープニングに傑作の予感」とは誇張ではないのです。小気味よい音楽と共に、美奈子が清冽な朝の空気を切って小さな町の坂を下るシーンは本当に美しい。狭い知見で申し訳ないですが、宮崎駿のアニメ「耳をすませば」の坂道のシーンに通じるところがあります。朝の光が現れようとする瞬間、それは人間の純粋でひたむきな心が最も映し出される瞬間なのではないでしょうか。

それに美奈子と槐多のラブシーン。これまた感動的なんです。「今まで思ってきたこと、したい」。お互いを分かってきた心の隔たりがここで一気に融解するのです。泣きそうになりました。こんなに切ないラブシーン、今までにあっただろうか。この二人があんなことやこんなこと(笑)をするのか…と想像すると興ざめなのであまり見たくなかったのですが、さにもあらず。というかそんなシーンはありませんでした。感動させるには初めだけで十分ですね。

静かな光景に、過剰でなく適度に配されたBGM。抑制された演技で溢れる人間性。静の中に感じる激しい動。そういうものもまた一層の共感を呼び起こすのかもしれません。とまだまだ言いたいことは沢山あるんですがともかく、今年度の最高作品はこれですね。これが日本映画だ、と自信を持って勧めたくなります。ぜひ観てください。ぜひ。
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by murkhasya-garva | 2006-01-21 00:55 | 映画