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by murkhasya-garva
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TAKESHIS'

「TAKESHIS'」
b0068787_3223066.jpg北野武監督第12作目となるこの作品。今まで彼が、いや多くの映画監督が持っていた方向性とは一線を画し、進めば進むほどに混迷を極めるものを作り上げてしまった。ヴェネチア国際映画祭では評価は真っ二つに分かれ、多くの新聞では酷評されたという。
「50年後に再評価される映画」といわしめたこの作品、日本ではどのように受け止められるのだろうか。

興奮しました。いや、それまでいろんな映画に興奮してきたわけですが、これはまた違う。どこまでも想像、読みが追いつかない。その混迷の度合いたるやすごい勢いで進んでいくのです。ああ、2つの現実を平行させているのか、と思っていると、「北野武」の夢が現実との境目を失っていく。夢は現実になだれ込み、「ビートたけし」の世界を侵食する。いったい何なんだこれは。

大体、筋のない作品は自分自身「訳が分からん」「何がやりたいんだ」「何も伝わってないやん」などなど文句を垂れていっちょまえにこき下ろしたりするんですが、この作品に限ってはほとんど出てきません。むしろ、たまらん!面白すぎる!!といった類の感想ばかり。

製作者側が意図して混乱に導いているのが分かるようです。「観客から感想が出ないような作品にしたかった」…だとすればこれは成功ではないでしょうか.スタッフロールの瞬間、「ああッ、やられた!!」と思わずつぶやいてしまいました。よくもまあここまでやってくれたもんだ。

余談ですが、作品の形式に「入れ子構造」というのがあります。例として、
「男が一匹の狐を捕らえて腹を割くと、中からまた狐が一匹出てきた。その腹を割いたら、また狐が出た。その腹を割いて、ようやく臓物が出た。三匹の狐は不思議なことに、みな同じ大きさだった。」(「異苑」77「狐の中から狐が出る」)
つまりひとつの中に何か、またその中に何かが入っていて・・・というやつですね。
その形式に似てないこともないんだけど、なんというか互いが互いを侵食しあっているような感覚からは、さらに、入れ子が融け出しているようにすら思えます。

また、THE STRiPESのダンスがとても存在感を放っています。実は「座頭市」でのラストのダンスはあまり好きじゃないんですが、この混乱した舞台だからか、すばらしく気の利いたアクセントに思えます。

何度も何度も北野武の前に現れ、ちょっかいを出し続ける岸本加世子や、ダンスを一手に引き受けるTOSHI、チンピラ役の寺島進やその女の京野ことみ、そして北野武/ビートたけしの存在感…。見ていてくらくらします。一種の恍惚?というやつです。
監督も「分析するには2回以上・・・」と言ったそうです。この偉業/異形の作品がどんな形なのか少しでも見極めるため、もう一回は観に行きたいですね。

賛否両論がはっきり分かれるよな~と実感しましたが、さて観た方はどう思いましたか?
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by murkhasya-garva | 2005-11-30 03:25 | 映画

コタツの夢

いつものように境内の市場へ行く。陶器を売る店や肉屋を営む店もある。
そこで当然のように物色をし、回るつもりであった。
その帰り、易者に出会った。
易者は言う。「お前さん、死兆が出ている。このままだと死ぬぞ。」
何をバカなことを。一笑に付し、そのまま店を回り、家に帰っていった。
しかし、その途中、どうも気がかりなことばかりが起きる。
どうも嫌な予感がする。
その不安は一晩のうちに大きく膨れ上がり、本当に自分が死ぬのではないかと思うに至る。
あくる日、また易者の下に駆け込む。
「どうにかしてくれ。今俺はどうなっているんだ」
易者は残念そうな顔で言う。
「一晩のうちに運勢が変わってしまった。忠告を守らなかったものだから、お前はもう死ぬだろう」
不安で嗚咽をもらす。「どうすればいい?」
「私が作っている薬を飲め。昨日は私がお前に薬を調合してやろうと思ったのに、断ったから作ってやれなかったのだ。これを今日飲むがいい。」
彼が渡した薬はそこらで売られているようなものであり、値もそこまで張るようなものではなかった。
「わかった。今日帰ってから飲むよ」
「何を言っているのだ。それでは間に合わない。ここで飲むのだ。家に帰ってなどと悠長なことを言っていれば、お前はとうにお迎えがきているだろうよ。さあ飲め」
恐怖が私の頭を狂わせ、思わず、白い粉末を顔に塗りたくる。
「これを、これを飲めば良いんだな?」
隣にいる客がいぶかしげな目つきで私を見、少し間を置こうとする。
「それはそうだ、かえってからなどと悠長なことを言っていられる身分ではない筈だ」
手元にある薬を飲み下そうとする。



目が覚めた。私は寝ている間に嗚咽を漏らしていなかっただろうか?
喉がヒュウヒュウと痒い感じがする。
どうやら、さっき咳をしたようだ。咳をすると泣いているように感じるのだろうか。
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by murkhasya-garva | 2005-11-29 00:19 |
「チャーリーとチョコレート工場」
b0068787_23513463.jpgティム・バートン、ジョニー・デップ共同製作、「コープス・ブライド」とほぼ同時期に上映。元ネタは「フォービデン・ゾーン」だそうで、実際にいくつか類似点が確認できるのが楽しいです。ハチャメチャ度では「フォービデン・ゾーン」のほうが上だと思う。あれはハチャメチャ過ぎて一押し!!の作品ですが。


チャーリーは、町外れのとても貧しい家庭の少年。ある日、金のチケットが当たった5人をウォンカのチョコレート工場に招待する、と言う話が飛び込む。幸運にもチケットを当てたチャーリー。世界各国からチケットを当てた子達とともに、ウィリー・ウォンカに工場を案内される・・・。

基本的には子供向けの作品のはずです。主人公は小学生相当の少年。ストーリーもお伽話仕立てで、分かりやすいし細かい設定は軽くすっ飛ばしている。最後にはハッピーエンドで、ちょっと教訓めいた心温まる作品。なんですが。
ブラックユーモア多いです。多すぎて、子供向けの作品のはずが結局大人向けになっちまった作品。実際に小学生に見せたら何と言うだろう。

ウィリー・ウォンカは別に子供好きじゃない。というか人間嫌いかもしれない。ムカつく他の子供たちにひどいこと言い返したり、子供たちの予想しない行動にビクったり。かなりのマイペースだし、いつまでも夢を追っていたり、親嫌いだったり。子供の心のまま大きくなってしまった大人という感じ。そんな変人をジョニー・デップが演じきってます。うまいよな。
他の役者もいい。チャーリーはちょい貧相な顔だけど、いい表情するんです。適役です。

作品全体に独特の雰囲気があって結構目を引きます。元ネタの「フォービデン・ゾーン」よろしく、彩色がサイケデリック。外の冬の世界とは全く無縁です。「コープス・ブライド」の、生者のモノクロの世界と死者のカラフル世界の対象性と酷似していますね。

この作品から観客を飽きさせなくしているのは、彩色だけではありません。作品内の設定の奇抜さというんでしょうか。本当にアイデア満載です。
例えば牛にムチくれて「ホイップ(Whip)・クリーム」とか、クルミの殻をわざわざリスに剥かせるとか。ウンパ・ルンパは子供がトラブルに巻き込まれる度に大勢で踊る。別に助けるわけじゃなし、むしろお仕置きの手伝いみたいなことも・・・。
基本的に「ありえない!」ことが出てきます。もうね、あまりにもバカバカしくて、飽きる前に失笑ものですわ。そういうノリが好きな人にも好印象でしょう。

テーマは分かりやすく「家族愛」なんですが、ちょっとベタベタ感が抵抗を受けます(多分狙ってる)。評価は高いと思いますが、多少の好き嫌いがありそうです。小ネタのブラックさにどんな印象を持たれるのかが分かれどころではないでしょうか。
一般的な評価だったら「コープス・ブライド」、でも趣味で言ったら「チャーリーとチョコレート工場」がオススメ!です。バカバカしいけど心温まる作品、いかがでしょうか?
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by murkhasya-garva | 2005-11-28 23:52 | 映画
次は、京極弥生座で「青空のゆくえ」「乱歩地獄」とセットで観た作品。別料金ですが。
日本と中国、日本と韓国、日中韓など共同製作をこの頃見かけます。音楽もしかり。これからの作品において、新しい観点を見つける好機かもしれないですね。

「about love アバウト・ラブ/関於愛」
b0068787_1714756.jpg
東京、台北、上海を舞台に、留学生と現地に暮らす異性との出会いを描いた作品。
言葉が通じない者同士のコミュニケーションを中心軸に、「知り合うための努力、すれ違う思惑、気がつかない想い」がそれぞれの作品で語られる。




若手俳優が主演するというのが今回のミソでもあります。というのも今回の出演者にあの伊東美咲が・・・っ!! 「海猫」で散々なスクリーンデビューをはたし、テレビ版「電車男」でも、お人形さんが話すようなイメージしかなかったあの俳優(?)が再度銀幕に登場。
また、今度「ハチミツとクローバー」に出演が決まっている加瀬亮。彼は真山役で出るらしいが、どんなキャラなのか?「スクラップ・ヘブン」を見逃したのでここで確認。

個人的には上海編が一番好きでした。届かない想い、伝わらない気持ち――。そのひたむきな視線を送るリー・シャオルーに参った。少し鬼束ちひろに似てるような気がする。ボーっとしているようだけど、相手を見詰めるときの目が強い。作品によく合った俳優さんです。
彼の行動を真似してしまうユンの姿がとても印象的です。パーマをかけて彼に見せに行くところなんてもう、いじましいというか。
ラストの「愛してる」はどうにも切なかった。修平とユンの対照的な表情といったらない。また、愛してくれた人のいた場所に戻った修平のたたずまいも胸に迫ります。
最もラブストーリーらしい作品ですね。感情移入もしやすい。

作品としては台北編が最もよかった。言葉が通じ合わず、何とか近づこうとする姿が細かく描かれています。それに加瀬亮がいい味出していた。西島秀俊のキャラに似てる。際立ったカッコよさというより、雰囲気から魅力がにじみ出るような人ですね。長身も大きなポイントか。

そして東京編。伊東美咲は今回はよかったと思います。あまり違和感を感じなかった。なぜなら、ほとんど台詞がなかったから。今まで棒読みの台詞がはさまれたから台無しになってたんだということがわかりました。役作りがしっかりしていれば、彼女はもっと良くなるような気がします。ストーリーもラストで冷や冷やしたけど、納得の結末でした。

タイトルが「愛について」ですから、ラブストーリーを作っているわけではないようです。そこに至るまでの過程を描く、というのは、従来の"男女といえば・・・"というベタベタさがなくてかえって新鮮で、爽快でもあります。省略したことで余韻を残してくれますし。

お互い文化、言葉の違う場所で育った二人、というアイデアが印象的です。国際関係で両国間についてどうこう言われている時期にこういう作品が出るのは、いい兆候だと信じたいですね。「愛について」というと、根本的な視点で「二人」の関係を問い直す、とても現実的なアプローチにも思えます。その上で若手の俳優を使ったのは正解かも。
オススメ!というほどではないですが、観ても損はしません。
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by murkhasya-garva | 2005-11-25 17:16 | 映画

青空のゆくえ

「青空のゆくえ」
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さて閑話休題、というわけではないんですが、ここのところブラックな作品が目白押しだったのでふらりと観に行ってしまいました。






それは一服の清涼剤のような作品だった。見ていて気持ちの良くなるものでした。
大切な友達がアメリカに転校することになった。彼、高橋正樹が転校することを知らされていなかった周りの友人は戸惑いを隠せない。正樹は、ひとつだけやり残したことがあると言った。
今まで彼のことはそこまで意識していなかったのに、転校という事実が皆の気持ちを少しづつ変えていく。一体彼のやり残したことは何なのか。
正樹が転校していくまで1ヶ月。彼と彼の友人の気持ちの揺れがあざやかに描き出される。

あっちゃーこんなさわやかな映画おれには観れねえよ・・・
とまあそんなことぼやきそうになりながらニヤニヤして観ておったわけです。
こんな青春なかったよな~、と以前にも言ってたような気がしますが、今回もそんな感じ。本当にね、清涼剤なんです。ストーリーも、登場人物もさわやか。特に、中心にいる高橋正樹(中山卓也)は、あっけらかんとしていて憎めない。彼みたいなのがいたらそりゃもてるだろう。
背景に映る景色もとてもきれい。日差しが強い夏の日、彼らの姿は鮮やかに浮き上がると同時に、どこかに残してきた美しい思い出のように描き出されます。

そう、『思い出』なんです。それは、登場人物がどこまでも等身大であるということ。また、設定がどこにでもありそうな現実そのものにあること。そして、映画作品として、大きなテーマ、もといメッセージ性が前面に押し出されているように見えないこと。

美しい思い出を振り返るとき、思わず目を細めてしまいます。それが中学生の頃だったら…。
恋よりも少しまだ早く、でもお互いのことを意識し始める時期なんでしょうか。高橋正樹の周りで、夏休みという時期も影響しているのか、恋心がさまざまな形で動きだします。幼馴染の春奈(多部未華子)、学校で何かと面倒を見てもらっていた貴子(結城早矢)、束の間のデートで急に意識するようになった亜里沙(黒川芽以)、バスケ部キャプテンの速見有美(森田彩華)、帰国子女の市田尚子(西原亜希)。
こう見ると本当に正樹はもててますね。こんなんあるか!現実的じゃないってか。まあまあいいじゃないか。

この作品を"一片の夏の思い出"にしているのは、これだけではないはず。
というのは、中心人物は高橋正樹なんだけど、その周りにいた5人の少女の視点に焦点があるように思うからなんです。例えば彼をレジから見上げる春奈の目線はとても印象的です。ラスト、5人で屋上に集まるのを見ると、実は彼女たちが主人公だったんじゃないのかとも思うほどです。というかそうかもしれない。

転校してしまった大切な友達・・・自分たちの心の中に短い間だけど大きい存在になった人がいた、というのは、まさに甘美な思い出の一片ともいえるのでは。
また、この美しく、切ない作品を演じた俳優たちの役が上手い。それぞれの役が十分に生きていたと思います。ごく自然に各キャラを演じていて、思いがにじみ出るような表情を皆していたのがとても心に残ります。

中学生日記?とか食わず嫌いなことを言わずに観てみて下さい。等身大の姿を演じていて、違和感なく観られると思うんですが。特に同世代の少年少女にオススメです。
現にキネマ旬報では、映画感想文で「青空のゆくえ」の感想文が入選していました。
まずはご覧あれ。
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by murkhasya-garva | 2005-11-21 16:52 | 映画

グシャノビンヅメ

「グシャノビンヅメ」
b0068787_16302786.jpg何百もの階層で構成されている都市。各階層にそれぞれの種類の人間が住んでいる。各階層ををつなぐのは「移動機筒」のみ。その日藤崎ルキノが乗った移動機筒には、第99階層の犯罪者2人が乗り合わせてきた…

2004年公開作品…らしい。
第2回インディーズ・フェスティバルのグランプリ受賞者、山口洋輝監督の作品。友達の知り合いが出演しているそうで連れ立って観に行ったわけですが、面白いじゃないか。
インディーズの作品というだけで、何故あんなに心配していたのか。初めのシーンで、え?もしかするとチープ??といらんことをドキドキしていたんですが、話が進むにつれて引き込まれるんです。畳み掛けるような恐怖、スリル。極限状況の人間が陥る姿がとてもリアルに見えてきます。


突き詰めれば密室パニックホラー(?)。映像に引き込まれるのは、多分「移動機筒」を取り巻く世界の設定がとても緻密で、迫真的だからでしょうか。
各階層に分かれる世界。階層の奇妙な名称。各階層の一癖ある住人たち。時折交される不思議な言語。こんだけでもう興味がそそられるってもんです。たくさんのアイデアが盛り込まれていて、それらがいちいち面白い。なのでネタバレするのが何だかもったいない。

気になる点がいくつか。
「タバコは所持するだけで重罪」ってアンタ・・・。「体に悪い」とか言わせるし。監督は嫌煙キャンペーンでも張ってるのか。あんまり掘り下げられないところを見ると世界観の補強アイテムなんだろうけど、そんな言わんでも。でもこんなにあからさまなのは初めてなんで、面白かったです。

登場人物の設定で社会風刺が入ってるのはいいけど、ネタが出っぱなしってどうなんだろう。母親として無自覚な女とか、拝金的な男・大津久森ビブリオとか、結構メイン張ってるキャラはもっと詳しく描いて良かったかもしれません。
あと流血シーンはそんなに迫力がない。「シン・シティ」を観た後だったからそう思ったんだろうけど、ここはちょっと足りないかも。若い看守の流血部分がアングルごとに違うし。もったいない。

でも役者は皆上手いですね。婦女暴行漢は表情豊かでかなりハマっている。気持ち悪いなあ。オーバーアクションでもおかしくないキャラだからかもしれない。この人次作品で詐欺師を演じるとか。ぜひ観たいです。
他にも冷静沈着なエレベーターガールとすごい打算的な子棄て女が取り乱してつかみ合うシーンも見もの。極限状態になったときの行動が迫真的です。

世界観の設定がマンガで弐瓶勉の「BLAME!」に似ているような気がします。独特の世界観は、この作品を密室パニック(?)というジャンルで成功させた重要なポイントだと思います。
でも日本でこの類の作品は本当に少ない。洋画では「CUBE」や「SAW」があるんですけどね。こんな面白い作品を作れる人が日本にもっと増えてほしい。
予想を上回る面白さ。密室系の作品が好きな人はぜひ。ポイントは、「緻密な設定」です。
それはタイトルからも分かること。
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by murkhasya-garva | 2005-11-19 16:37 | 映画

乱歩地獄

「乱歩地獄」
b0068787_1531417.jpg江戸川乱歩原作の怪奇小説を映画化したもの。ここに収録されている4作品「火星の運河」「鏡地獄」「芋虫」「蟲」は映像化不可能といわれ、今まで試みられることはなかった。
全編を通して出演しているのは、最近活躍している浅野忠信。奇妙な雰囲気をもった本作品では、彼の存在感が押し出されている。
共演者は、成宮寛貴、松田龍平、緒川たまきなど。


正直言ってあせりました。実は2回観にいったんです。昨日3本立ての3番目にしたからか、途中で意識が何度か飛んでました。終わった後は、何だか頭がおかしくなってしまったようで混乱してるし、倒錯的な映像が頭に残るばっかりで、一体あれは何だったのか・・・。どうも要領を得ないんです。 ということで改めて今日観にいきましたが、何のことはない、
さっぱり分からん。
一度見てよく分からなかったものは二度見ても分かりません。今日も混乱状態で帰る羽目になってしまいました。けど、もう一度観たくなるような感覚に襲われるんですね、これが。

今か昔かもはっきりしない世界、この世かあの世かすらもはっきりしない。徹底的に社会から隔絶されたような場所で世にも不思議な光景が繰り広げられるわけです。
観ていて気分の悪くなるような表現、それは直接的に残酷なシーンが映されるわけではありません。
「鏡地獄」の“溶ける”表現がイヤになるほど気持ち悪い。
「蟲」の浅野忠信の挙動不審ぶりがげんなりするほど気持ち悪い。
「芋虫」はストーリー自体が気色悪い。

現実とは異なった世界が各々のルール(文法)に従って積み重ねられていく。その光景は私たちを混迷、困惑の渦に巻き込んでいくようです。
また、観客を撥ね付けるのでもないのです。それぞれのストーリーが特有の美学をもって作り上げられているのか、感覚に訴えるレベルで私たちを引き込んでいきます。
肌の上を、目の真ん前を妙な感じが走る。
何なのか分からない、言葉に出来ない、見ないではいられない。

そりゃ一話ずつ内容を説明しろ、って言われたらできますよ。でもあの映画は一体なんだったのか、そう考えると、あの何とも言えない奇妙な映像が頭に貼り付いて説明できなくなってしまうんです。
こんなに映像がパワーを持っている映画もめったにないでしょう。ビジュアルに焦点を当てようとするためか、BGMもほとんど使っていない。代わりに流れてくるのは鏡の震える金属音だったり、洗濯機のゴウンゴウンという単調な音。挙句の果てには無音ときたもんだ。何も音がしないんですよ。

これですよ、ぼくが意識を失っていた原因は。静か過ぎるとダメなんですね。
今度は寝ずにもう一回映画館で見ようとか思ってしまいますが、これ以上見ても分かることもなさそうなので止めておきます。とかいっても何年か後にはまた観るんだろうな。

浅野忠信も存在感がすごいですが、成宮寛貴も際立っています。美青年の設定で登場しますが、実際のルックスもさながら映像も彼をより美しく見せているようです。
俳優は本当にいい味出してます。怪演というか。でも作品の細かいところを解釈するのは無理っす。「乱歩地獄」、この奇妙極まりない映像世界を、感じ取ってください。
観たい人は観てみればいい。おすすめはしないけど見る価値はある。

…そう言いたくて仕方ないのに、驚くことに映画館は盛況だった。若い子が多い多い。女子高生が3人組で観に来てたくらいだ。そして席を立っていったのは、何と彼らではなく年配の人たちだったんですね~。そんなに失望したのかい。
ともかく!これはある意味本当にすごい映画かもしれません。
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by murkhasya-garva | 2005-11-16 20:49 | 映画

蝋人形の館

「蝋人形の館」
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久々に怖いのを観ました。ゾンビ映画オールナイト@京都みなみ会館ではゾンビつながりの映画を観てきましたが、その中の「キャビン・フィーバー」に多少似ています。とはいっても部分的に、ですけど。お約束の仕掛けがあちらこちらに……ああこわい。



若い男女6人がフットボール観戦で遠征し、途中でキャンプ。夜の間に車の部品を外され、通りがかった男に案内された小さな町、アンブローズ。寂れた町の片隅には、大きな蝋人形館が…

お約束をバカにしてはいけない、そう反省させられた1本です。
例の「キャビン・フィーバー」と比べると、現地民との接触という導入や、若い男女のお気楽旅行でしかも彼らが基本的に自己中だとか、何か身体とは異質のものに蝕まれる恐怖とか、そういった大枠をなすものが似ています。

違うのは、前者がゆっくりといやおうなしに募る恐怖を描いたのに対し、これはいわゆるパニックホラーだということ。大きい音で心臓をつかむし、助かるか助からないか、というギリギリのラインで観ているほうを引き込んでいく。最後は助かりますよ、という空気をムンムン出していたら全体的にダレてしまう。そこで、少しでも間違ったら全滅してしまいそうな雰囲気を出しておくわけです。追いかけられて必死に逃げて、もうほぼ絶望的な状況にあるところを、間一髪で命を留める。そこに面白みがあるんです。

この映画、印象に残るシーンがいくつかあります。例えば、「臭いを表現する」こと。悪臭を映像で表現できるのか?こんな無謀なことやるにはなんか狙いがあるはず。とにかく臭いを映像で表現、って新鮮じゃなかろうか。
他に印象に残るといえばベタベタの展開でしょう。パニクってるはずなのに言葉で説得しようとしたり、看板の間から脱出したり、蝋人形の目が動いたり。ベタベタなのに白けさせないのは上手い証拠かも。

蝋の特徴を有効に使いきった内容が好きです。エグいのを薄皮一枚で隠す蝋、肌に張り付いて離れない蝋、溶け出したら崩れるしかない蝋。無理にはがすとベリベリ…うわああ。
流血も残酷シーンも普通に出てくる。観ていて恐怖感やら嫌悪感やら煽り立ててくれます。銃を使うよりよっぽど痛々しい。よく出来たパニックホラー。感想を書きながら、もう一度観たいと思った1本でした。

余談ですが、キャストにも注目。皆若手だから一人も知らなかったのですが、最近注目の俳優だそうです。女優はやけにセクシー。「24 TWENTY FOUR」のエリシャ・カスバート、ヒルトン一族の令嬢、パリス・ヒルトン。
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by murkhasya-garva | 2005-11-15 02:53 | 映画
「ティム・バートンのコープスブライド」
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ティム・バートン監督がジョニー・デップと協力のもと作られた映画のうちの1本。この2人協同の作品は少なくない。シザーハンズ、エド・ウッド、スリーピー・ホロウ、ナイトメア・ビフォア・クリスマス。今回「チャーリーとチョコレート工場」とほぼ同時期に製作されたこの作品は、カップリングやおこぼれ的小作品といったものではない。既に出ている評価のとおり、これは独自の世界観を持った逸品と言うべき。

いまだに「チャーリーと~」は見てないんですけどね。ハシゴの流れで観にいきました。数年前に「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」を見たんですが、なんと出来のいいことか。ストップモーション・アニメでカルチャーショックを受けたというか何というか。だってそれまでは朝の幼時向けテレビでしか知らなかったんですからね。

とにかく、今回も面白かった。正直なところ、刺激の強いものの見すぎで深く感動できなかったのがとても残念。もっと素直な気持ちで観なければ。
内容は一ひねり加えたいい話。ハートウォーミングという作品。最後まで予定調和的で、誰にでも難なく見られるものになっています。目立つのは、パペットの動きです。トコトコトコ・・・と足音の付いた動きがかわいらしいし、かと思うと執事の細かいアクションもこれまたいい。
ビクターの家は魚屋で、屋敷に入るとき執事がビクター家族の後ろで鼻をヒクヒクさせるんです。それがなんとも魚の臭いがしてきそうで・・・。屋敷の色が腐った魚の色合いをしているからなんでしょうか。妙にリアルな感じでした。

死体の花嫁がとてもキレイ。頭から足先まで青ざめているというのに、その憂鬱で悲しげな表情は、薄く引かれた口紅のせいか、なんだか色気が出ているようにも感じられます。それに表情もとても豊か。ふと微笑むときの、やつれた頬に出来るえくぼはとても雰囲気出てますよね。ビクターは死体と結婚するなんて、と止まってしまいますが、こんな感じの美人だったらOKしてもいいかもしれない。

また面白いことに、生物の世界はあんなに灰色が基調の暗い世界だというのに、死者の世界は逆に黒をアクセントにとてもカラフルで明るいんです。もちろん色だけではない。生者は規則に縛られ、意地や悪意、外聞にとらわれていて何だか感じ悪い。ただビクターとビクトリアだけが無垢さを残している。なのに死者ときたら歌って踊って騒いで明るくて無邪気で、仲間思いな善い奴ら。

内容も基本的にいい話です。見ていて気持ちが良くなります。またミュージカル仕立ての部分もあって楽しく見ることができます。内容の深読みもできないことはないんだろうけど、この類の映画には余りそぐわしくありませんね。皆にオススメできる作品。ただ、映画ずれした方はこの限りではありません。
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by murkhasya-garva | 2005-11-13 15:52 | 映画

シン・シティ

ひたすら遅くなって申し訳ないです。何というか剣道部も引退を迎えてしまい、いきなりバイト三昧がいけなかったのか、速攻で体調を崩してしまいました。
映画は今週平日は一回もいけず、感想を書く体力も残っていなかったのでこのような始末…
これからは観た映画の9割は確実にアップの予定ですので気軽に覗いてってください。

「シン・シティ」
b0068787_21373630.jpg観たのは約2週間前。最近エグいのよく観てるな~と思った一本です。
アメリカンコミックから原作を得た忠実な映画化。相当に高い評価を受けているそうで。
ピカレスク映画の傑作、という声もあります。


とはいってもアメコミの映画化というのは大量に出回っています。わかる限りでは、スーパーマン、ニンジャ・タートルズ、バットマン、X-MEN、スポーン、スパイダーマン、デアデビル、ブレイド、ハルク、ヘルボーイ、ファンタスティック・フォー・・・などなど。(もうええちゅうに)
案外面白かったもの、こんなもんかと失望したもの、様々でありますが、シン・シティは際立って素晴らしい。それにカッコいい!!

何といってもまず映像に目がひきつけられる。ほぼモノクロの映像に一色、鮮やかな色が添えられます。真紅のドレス、輝くブロンドヘア、ロアーク・ジュニアの黄色い肌・・・。それ以外ほとんど色を添えられないことで、かえってイメージが掻き立てられます(逆にモノクロのみではそうもいかなかったでしょう)。色彩が抑えられて、音響や映像が「痛い」感じを倍加させてます。
しかし、流血は特に赤で染めていません。白く輝く血だまり。飛び散る白い血液。当たり前のことを抑える、ということがどれだけの迫力を持たせているのか・・・

またアクションシーンが丁寧。その実、全体の大半がアクションシーンだけど、緩急を適度につけることでとても分かりやすいし、むしろ落ち着いて観られるんじゃないだろうか。そんな映像はまるで一つの絵画を見ているようで、とてもスタイリッシュでカッコいいのです。

内容に関しては基本的にエグい。でもホラーのそれとは違い、登場人物が自分の行動を、客観的に現在形で表現しているので、少し距離を置いた印象を受けます。ナレーションが登場人物と距離をとるというのは、モノクロの方針と似ています。あえて離れた視点からものを見ることで、過度な感情移入ではなく、キャラやストーリーのより深い理解をうながしてくれる、ということでしょうか。
そしてその一瞬一瞬のカットに、昔の名画のワンカットのようなかっこよさがあるのです。
極力無駄を省いた作品の妙、というんですかね。

役者もまたイイ。ハーティガンことブルース・ウィリスは近頃に見るトップランクのハマりっぷり。ハードボイルドのウィリス、今回の髪型が一番似合っている。人食い殺し屋のケヴィンがハリーポッターに似ている。誰だ…イライジャ・ウッドだったのです。おいおい「ロード・オブ・ザ・リング」のフロドが人食いかよ。あのパッチリ目で表情の変化がないと結構怖い。あとナンシー演じるジェシカ・アルバは目を引くね。はじめスカーレット・ヨハンセンかと思いました。最近役者の見分けが付きません。

全体的にいわゆる過激な映像がふんだんに盛り込まれているので、残酷だということから嫌う人も少なくないでしょうが、これだけスタイリッシュ(?)に描ききった映画もそうそうありますまい。吐き気をこらえてでも観るべし。個人的にはカッコよすぎて震えました。
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by murkhasya-garva | 2005-11-12 21:43 | 映画