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by murkhasya-garva
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2009年 09月 06日 ( 1 )

精神

『精神』(2008)
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岡山県の精神科「こらーる」のドキュメンタリー。想田和弘監督の「選挙」に続く第2弾。イメージフォーラムで8月第2週に鑑賞。




「友達がいなくなったんです…」老齢の医師の前で切々と泣く女性。自分の病気のこともあって、付き合いがなくなっていってしまう、と訴える。また、至って真顔で最近の状態を伝える方。医師は小さなメモ用紙に何事か書きつけ、このように考えられたらいいんじゃないか、とアドバイスを伝えている。

「こらーる」を訪れる方は様々だ。最近私もこういった環境を体験する機会があり、その人たちの様子にあまり違和感を持たなくなっている。話してみれば真摯に応えてくれる方が多いことに気づく。自分が経てきた人生を、そして今おかれている境遇を冷静に捉えることのできる方はとても多い。

本作でも、待合室で冗談を飛ばす中年の方がいる。話に自分でオチを付けて、「・・・・・・!!」という感じで笑う様子がとても印象的。かと思えば写真を小さなアルバムに挿み、右側のページには俳句や詩を書きつけている。どれもが日々の出来事に感謝や達観を乗せている。

監督自身カメラを持ちながら、「精神科が自分たちとはベール一枚隔てたところにあるような気がする」と言う。まさにその通りなのだろう。5,6年前に見たホラー映画、何だったかは忘れたが、精神障害を負っていると思われる男が帽子を目深にかぶってブツブツと言い、ナイフを持って曲がり角の先にいる、というシーンがあった。ある種“人間とは違った危険な存在”が“野放し”になっているというようなイメージ。これはあまりにも偏っている、ということを本作で知らねばならない。いつのまにか無自覚に刷り込まれているのだ。注意が必要だ。

しかし、異様な雰囲気を持っている壮年男性を本作の最後に出したのは、想田監督がこういったイメージにまさに挑戦するかのような印象を受ける。住所不定、保険証も住民票もなく、住宅への申し込みをしようとしているのか延々と電話をし続けている。「こらーる」の電話で、閉店間際に。しかも信号を待たずに原チャリで飛ばしていく姿。これを見てどう考えるだろうか。間違っているのは社会か彼らか、なんていう二元的な問題ではない。どうしたものか。あのオッサンの誰も寄せ付けないようなムッツリとした顔が頭から離れない。
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by murkhasya-garva | 2009-09-06 23:34 | 映画