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by murkhasya-garva
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オフサイド・ガールズ

「オフサイド・ガールズ」(2006)
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いい映画だった。と言うと、「マジ感動した~ ・゜・(/Д`)・゜・。」とゆってるのと同じくらい脱力モノなのを分かってはいるんだけど、この作品に限ってはどこが良かったというのをなかなか指摘できないでいる。別にそんなことを詰めてどうする、と突っ込まれたらハイソレマデヨなんですが。



この作品、女子禁制のサッカー競技場に、変装してまで試合を見にきた少女たちがとっつかまったその顛末が描かれている。どうやら競技場ではホンモノの試合が行われているらしい。しかし本編では歓声とサッカーの映像が端々で流れてくるものの、結局正面きって試合の内容は映されることはない(何だか潔い)。「サッカー見せてよ!いつまでここに拘束するの」「せめて実況くらいしてよ」と自分たちが捕まったのに罪悪感などどこへやら、少女達は騒ぎ立てる。

それに対する兵士たちの態度も面白い。「面倒をおこすな」としきりにいうが、彼女達を拘束した後はその裁量もけっこうテキトウなものだ。トイレに連れて行くときには、下品な落書きを見せるわけにはいかない、と選手のポスターをお面にさせたり、トイレに入ろうとする男どもと勝手に小競り合い始めちゃったり、思いつきでルールを決めているところがある。どうやら、兵士達はお上からの規則と、加えて自分なりの倫理観で自分ルールをその都度作ってるみたいなのだ。日本での警察とのやりとりは想像したことがないが、この“倫理観”というべきものがかなり独特に感じられた。

もちろん、最近の邦画でも「青春☆金属バット」(2006)やら「松ヶ根乱射事件」(2006)など若い警官の姿がコミカルに描かれていたりするが、やはり彼らは、このイランの兵士達と比べて、職業に対する必然性みたいなのがなさすぎる。別に悪いってことじゃない。中東の方が、頑固なほどのルール遵守の意識があるなあ、と感じるのだ。民族の精神性ってやつだろう。

加えて、伝統的な女子禁制という素朴な問題にも、本作は言及しているけれどまあここはいいだろう。女性の権利問題はたしかに根深く、深刻なことであるが、素肌をさらすことさえ禁じられている国の問題を日本の視点で論じたところで、悲しいほど無益なのであえてここは避けておく。めんどくさいし。

結局、少女達は試合も見れずに送検されることになる。街は勝利の喜びに酔いしれている。少女達が花火を持って人ごみの中に溶け込んでいくラストシーンこそ、本作の最高の場面だ。カタルシスってこういうことをいうんだと思う。法の鎖が必要なほどの圧倒的な力をもった人民が、歓喜の渦に包まれるこのシーンは、熱狂的でいて、しかしどことなくやさしい。「世界平和」なんてコトバさえも幻視しそうになるが、そこはグッとこらえてもやはり、何にもハッピーエンドじゃないけどやっぱりこの作品はピースフルでハートフルなんだなあ、なんて思ってしまうだけの力がある。
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by murkhasya-garva | 2007-10-07 01:24 | 映画