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by murkhasya-garva
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渡辺文樹@大阪

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6/19、大阪府立青少年会館で、渡辺文樹監督の映画を見てきました。10:30から「腹腹時計」、13:00から「罵詈雑言」。彼の作品はいずれも過激な内容のため、一般の映画館では上映されていません。渡辺氏は各地の施設を使い、独自に上映会を行っています。また上映会が行われる地域ではたいてい、ゲリラ的に電柱などにポスターが貼られます。作品の未見の方もポスターを目にしたことがあるでしょう。目を疑うような過激なキャッチコピー。




初めて目にした小学生の時分、「彼女は便槽の腐乱死体を愛した」(だったか)、「ゲロ袋あります」などというコピーが「罵詈雑言」のポスターに貼られていて(↑の画像)、幼心に恐れおののいた記憶があります。

さて、「腹腹時計」はテロリストが天皇暗殺を図り、爆弾を使って攻撃しようとする内容。腹腹時計とは、「爆弾製造の地下出版物の名」だそうです。活動家・渡辺は渡辺監督自身が演じています。
映画としては(彼自身、謙遜して言うように)余りにつたない。役者は監督も含め、ダイコンです。もろ説明的な台詞回しの会話を無表情に棒読みするので、どこを強調したいのか分からない。ストーリーの伏線も読みづらく、いきなりとも思えるような場面転換。細かい設定も活かしきれず、まるで取ってつけたような印象しか受けません。
「いやあ、ひどいの見ちゃったなあ…」というのが見た後の率直な感想です。

そして「罵詈雑言」。1989年2月28日、福島県で起きた青年の変死事件の謎を、監督が究明すべく再現映像とともにドキュメンタリーとして制作しています。監督自身が「怒りをもって作った」と言うだけあって、内容は監督の猛烈なインタビューによる村の人々との苛烈な争いが映されます。こっちはすごい。ドキュメンタリーの生々しさがビリビリ伝わってきます。

1989年から5年後、監督は事件関係者に取材して回ります。教員住宅の便槽で見つかった男性の死体。事件は「のぞき」が目的の結果として結論付けられますが、その不可解な事件は、じつは他殺によるものではないかと監督は疑います。もし他殺なら、地域全体が…。
「あんた知っているんだろ。本当のこと言いなさいよ!」
「だから知らないって言ってんだろ!何カメラ撮ってるんだ。帰れ!」
というような苛烈極まるやり取りがインタビューする先々で起こります。よくこんなことをやるな、と圧倒されると同時に、このような特定の人々のプライバシーに直接関わるような問題である以上、一般公開は明らかに無理だと思わされます。

社会の暗部に対し常に問題意識を向け、告発を続ける渡辺氏はかなりの行動力を持った方であるのは間違いないでしょう。その行為が適当か否かは、ここで敢えて結論付けません。「腹腹時計」の内容は政治的に納得行かないものがあります。また「罵詈雑言」はアプローチの客観性に疑問があるし、そして門外漢である以上、いわゆる“事件の真相”を判断することは不可能だからです。
しかし、この作品群を単なるトンデモだと言い切るのではなく、この反体制という監督の視点をさらに批判的に捉えてみるのもいいんじゃないでしょうか。
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by murkhasya-garva | 2007-06-21 11:22 | 映画