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by murkhasya-garva
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リーピング

「リーピング」(2007)
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おすぎの映画ブログにも書いてあったのですが、大きく宣伝されていないが良い作品というのはままあるものです。ホラー専門制作会社のダークキャッスルが放つ、ヒラリー・スワンク主演作品。手堅くて、演出も良いと思うんだけど…。



ダークキャッスルと言うと、「ゴーストシップ」「ゴシカ」「蝋人形の館」の記憶があります。どれも評価は高くなかったけど、ホラーとしての要素を持った、ホラーらしい作品ばかりだったような…と。そして今回も何かまあそんな感じです。最近見た作品の“怖さ”に比べれば一枚も二枚も劣るような気がするのですが。

さて本作は、旧約聖書の「出エジプト記」にある十の災いが下敷きです。ヒラリー・スワンク扮する大学教授キャサリンが、ルイジアナの片田舎ヘイブンで起こった怪現象を科学的に解明しようと向かいます。というのもヘイブンで起きた怪現象が旧約の呪いに似ているというのです。しかも、事件の中心にいるのが、まだ幼い少女だという。キャサリンは過去の個人的事情からも興味を持ちます。

ご存知のとおり旧約聖書とは、キリスト生誕以前の物語です。エジプト王がユダヤ人を解放しようとせず、神がエジプトに対し災いをもたらしたというのが、この「十の災い」。つまり、言わば邪悪な存在に対して災いが落とされるわけです。本作でもそれはラストまで一貫しているはず。
しかし話は二転三転します。一体誰が悪魔だったのか?

ここに、本作の“怖さ”があると思うのです。もちろんドーン!!と何度も衝撃音にビビり、至近距離で襲い掛かるイナゴの大群に鳥肌、というのも充分ありなのですが、それ以上に、真実や現実がはっきりしないのは怖さの原因になります。今まで敵/味方とおもっていた相手が実は逆だった、それが何度も繰り返されれば段々と疑心暗鬼になります。本当にこいつは自分の見方なのか、まだ自分は騙されているんじゃないのか、と。

それは、現実が自分の手を離れる瞬間、と言ってもいいでしょう。今まで信じていたことが崩れていく、主人公はその体験を何度も経験するわけです。愛娘を失って信仰を棄て、本物の奇跡を目の当たりにして科学をあきらめ、そしてやっと見つけたと思った神の存在を見失って。本作では彼女の行く先に答えを与えません。この後、彼女は本当に信仰を棄てるのでしょうか。それとも現実を見極める理性すら捨ててしまうのでしょうか。

ありきたりにも見えますが、自分の現実(価値観とも言う)を失うという体験はなかなか恐ろしいものです。誰が神で、誰が悪魔なのか。もしかすると、自分が頼りにする神はどこにもいないのかもしれません。
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by murkhasya-garva | 2007-05-23 11:38 | 映画