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by murkhasya-garva
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こま撮りえいが こまねこ

「こま撮りえいが こまねこ」(2007)
b0068787_16295839.jpg京都みなみ会館に映画を見に行くと、予告篇で決まってこの作品が流れるんです。ゆったり、ほのぼのとした挿入曲が良い感じを出しています。新たなコマ撮り人形アニメーションが、NHKで「どーもくん」を作ったコンビ、合田経郎監督とアニメーター峰岸裕和によって作られました。



かわいいかわいいかわいい。そういえば羽海野チカがマンガ単行本の帯にそう書いていた。何の単行本だったかは忘れたけど。「こまねこ」にもその賞賛をあげたい。もうっカワイイ!!最近は「カワイイ」という表現が色々なものに使われていますが、これはいわば王道のカワイイ。なぜそんなにカワイイのかと言うと…もうそろそろカワイイがカイワレとかカイヨワとかカイワイに見えてきたでしょう。やり過ぎはいけません。

本作品は、東京都写真美術館にて「公開制作プロジェクト」として行われたのがきっかけの短編人形アニメーションです。ぬいぐるみ、切り紙、ペン画を用いたそれぞれのコマ撮りで、こまねこのこまちゃんをめぐるショートストーリー数編が描かれます。

このかわいさは、言い換えれば「愛らしさ」です。例えば丸みを帯びたキャラクター造形。とある人は、円形の対象に人が好感を覚えるのは、赤ん坊をいとおしむ感覚からきているのだ、と言ったとか。主人公のこまちゃんも丸みを帯びたシルエットで、本作のキャラクターの中でも群を抜いて好感を持てると思います。個人的にはこまちゃんの上唇にあたるお肉のフワフワ感にやられました。

でも、キャラクターもなかなかのもの。例えばいぬ子はこまちゃんと対照的で、その憂いや寂しさを湛えた姿が印象的なのです。もうあの二重まぶたとぽてっとした下唇がたまりません。
え?ぬいぐるみからそんなことが分かるわけないって?変態かって?分かるんです。それに変態じゃないよ!!ふ~・・・。一般論に過ぎませんが、人間は相手のささいな仕草から様々なことを想像するじゃないですか。彼らにはそのニュアンスを読み取らせるだけの微妙な仕草があるんです。そう、本作のキャラクターは、そのかすかな身振り、表情がとても情感豊かに表現されています。その瞬間に、『可愛らしいものが(しかも)ナチュラルに動く』ことの醍醐味が込められているとも言っていいでしょう。

また、映像だけではなく音声も、作風を支える大切な役割を担っています。まず全てのキャラクターに台詞がなく、代わりに「ふうん」などの呟きとか「にゃあ」「わん」といった擬音語を話します。言語を介さないコミュニケーションは、私たちの限定的な生活場面をすり抜け、もっと人の心の深い部分で波紋を起こします。言ってみれば、より多くの人が分かるものになると思うのです。
また、言語を使わない擬音語のみのコミュニケーションは、その『音』が映画作品の一部ともなります。こまちゃんの愛らしい声、おじいさんのつぶやきも風景となり、感覚での理解が可能となります。オタール・イオセリアーニの「四月」もそんな感じでしたね。

「ひとコマひとコマ愛をこめて制作された」と言うだけあって、本作品はていねいなキャラクター造形、繊細なニュアンスがたくさん詰め込まれたものとなっています。可愛いもの好きには是非オススメですが、そうでない人にもこの感覚は通じるはずです。もーかわいいっ!!
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by murkhasya-garva | 2007-05-10 16:30 | 映画