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by murkhasya-garva
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青春☆金属バット

「青春☆金属バット」(2006)
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なんだかとっても煮詰まったときに映画館に駆け込んで観た作品。この行き場のなさに共感…テンション下がるわ。監督の熊切和嘉氏は「鬼畜大宴会」「アンテナ」を手がけた鬼才。主演に野狐禅のボーカル、竹原ピストルが起用。



究極のバットスイングを体得すべく素振りに明け暮れる難馬(竹原ピストル)。だが酒乱女エイコ(坂井真紀)と出会ったばかりに、酒代を工面するため“バット強盗”として追われる身に。そんな彼の前に、高校の野球仲間だった警官・石岡(安藤政信)が現れる。

青春映画、爽やかな作品だけじゃありません。高校時代の懐かしい思い出をいつまでも引きずり、年を重ねるほどに冴えなくなる男たち。直視できないほど痛々し過ぎるために半ばタブー化されてきた青春の負の部分を、この監督は映像化してしまいました。ほぼ同じ世代のぼくは見事に撃沈。

主演の竹原ピストルと安藤政信がハマリ役なのです。竹原ピストルは映画初出演にも関わらず、存在感溢れるダメ臭を惜しみなくまき散らします。安藤政信も強気ながらどこまでも投げやりなキャラが良く似合う。野狐禅や「46億年の恋」での男前はどこへやら、負のオーラが出っ放しです。

高校野球部で万年補欠だった難馬―中日ドラゴンズの入団を夢見て、究極のスイングを求める27歳。甲子園で味わった苦い経験を忘れようとするダメ警官、石岡。彼らには共通して将来性がありません。秋の寒空の下、閑散とした町に靴の音だけが鈍く響く。どこにも活気のない町並みからは、本編全体にも通じる「置いていかれた」感が濃厚に漂ってくるのです。

しかもそこに、巨乳自慢のエイコをはじめ、色気が混じってくるから大変なことになる。青年特有の有り余るエネルギーと要領の悪さがマッチして、薄ら寒い景色はイタい光景へと変わります。

ともかく、彼女は本編のむさくるしさに色気を添えるとともに、象徴的な存在として現れます。社会性がないのは同じですが、彼女には自信がある。自分の“持ち物”の価値を知っていて、生きていくためのしたたかさも心得ている。自信がなく愚直な難馬とは正反対です。まさに光と影の関係。難馬はエイコに影響され、「究極のスイング」のためのバットも強盗用となる。ある意味現実が見えてきたということでしょうか。

そしてもう一人、難馬にとって対照的な存在の石岡。野球部時代の花形は、甲子園での挫折からずっと無気力な生活を送ります。夢を追う難馬とは真逆の運命をたどる彼自身に、救いようはありません。しかし野球部から「やり残した思い」を引きずる者同士、2人は必然的に引き合います。何度もフラッシュバックするマウンドの光景。再びピッチャーとバッターという関係で、過去をやり直し、未来を描き直そうとするのです。

どこまでも不完全な、大人になりきれない生き物たちのしょっぱい青春コメディ。あの若松孝二が、ベーブルースの息子(自称)で出演します。さすがに存在感のある演技が魅力です。ラストの花火のシーンが美しすぎて、胸に沁みる。あまりのしょっぱさにテンション下がるどころかドン引きします。20代後半から30代前半のあなたにぜひ観てもらいたい。
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by murkhasya-garva | 2006-11-30 12:49 | 映画