休止中。


by murkhasya-garva
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶

「アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶」(2003)
b0068787_9563211.jpg
今週から映画断ちのつもりが、知人の「パビリオン山椒魚観にいく」発言に動揺し、自転車をパンクさせながらも京都みなみ会館へ向かう。
完っ璧に三日坊主。ぼく映画を観なきゃやってけません!!
…甘ったれコメントも健在です。



2004年8月に95歳で逝去した20世紀最大の写真家、アンリ・カルティエ=ブレッソン。人前に姿を出すことを徹底して避けていた彼が、パリ近郊の自宅で、その生涯や数々の写真について自ら語る貴重なフィルム。

もっと早くこの映画に出会っていればよかった!!
カルティエ=ブレッソンという20世紀最大の写真家が、彼の写真とともにスクリーンに現れる。この映画は、あくまで写真や彼に興味のある人のためのものだけど、同時に視覚を使う芸術作品―例えば絵画や映画―を理解するためのヒントに溢れた作品でもあります。

撮影技術に関心のない人も簡単に写真が撮れて、鑑賞する人も質の良し悪しに関係なく写真を目にする現在。優れた作品を観る機会が埋もれると、傑作すら理解できない不感症が増えるような気がします。実際にぼくがそう。数枚の写真がスクリーンに映っても「??」(いや、本当に)。今までしたり顔で、光と影のコントラストがムニャムニャ…とほざいていた奴の化けの皮が剥がれる瞬間でした。

俳優のイザベル・ユペールや劇作家のアーサー・ミラーは彼の写真集をめくるたびに、ほう…と感嘆のため息を漏らします。不意に笑い出します。「まいったね」と。瞬間を絶妙なバランスで切り取り、風景に永遠の命を与える写真家、カルティエ=ブレッソン。彼の関係者も、そして本人自身も、本当に楽しそうに写真について語るのです。

“自分の知らない一面を見透かすかのような”ポートレイト、“あらゆるものを包含し”“見ただけで想像をかき立てる”風景写真。さすがに解説付きで何枚も紹介されれば、写真の見方も少しは分かる。後半には、スクリーンに現れる写真を見て思わず微笑んでしまうことも。

イザベル・ユペールは「全ての芸術形式に通じる」と写真を評します。確かに、絵画はもとより映画でも、画のバランスは評価の対象になります。スチル画像だけでなく、その映像の瞬間の美しさが映画にもあります。そしてその「画」の持つ意味。“優れたものは多くを語る”というジョセフ・クーデルカの言葉が印象的です。

写真の魅力を知るとともに、映画の面白さにも改めて考えさせられる作品です。何より、たくさんの写真とカルティエ=ブレッソンの生の言葉が聞けるのがあまりに貴重。「事実は小説より奇なり」ではありませんが、ドキュメンタリーの魅力は、この生の声を聞くというみずみずしさにあると思います。写真好きもドキュメンタリー好きも、是非観てほしい。
[PR]
by murkhasya-garva | 2006-11-16 09:57 | 映画