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by murkhasya-garva
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サンキュー・スモーキング

「サンキュー・スモーキング」(2006)
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最近とみに観客が多くなってきている京都シネマにて鑑賞。意外にも観客は20人程度だったので安心。隣にはよく笑うオッサンがおり、彼の笑い声が始終響いておりました。笑い声っていいですよね。観客の反応をじかに感じながら観ると、相乗的に作品を楽しめるのです。


タバコ研究センターのPRマンであるニック・ネイラーは、タバコへの強いバッシングをかわすため連日マスコミの矢面に立って戦い続ける業界の顔。ある日、ニックは映画を使ってタバコのイメージアップを図る作戦の指揮を任される。一人息子のジョーイを連れ、ニックはさっそくロサンゼルスへ…

まず正直に言いましょう。最近ハリウッド離れの激しいぼくが、20thCenturyFoxの「パッパカパー」を聞いたとき、「やばい…」と思ってしまったことを。偏見はいけません。どんな作品にも柔軟な姿勢で臨むのは、映画好きのぼくが定めた自分ルールなのです。

主演のアーロン・エッカートが「サスペクト・ゼロ」の刑事役だったとは気付かなかったのですが、“話術で世間を煙に巻く”という惹句や、話術がメインの作品なだけあって、立て板に水のごとく喋る彼の姿はまさに言葉のマシンガン。彼を筆頭に登場人物はみな滑舌もテンポも良く、観る者に「ついていけない」と決して感じさせずに展開する会話はとても良い印象が持てます。

柔軟な思考の持ち主であること。それが情報社会において大切なことだと何度も言われます。タバコのPRマンであるニック・ネイラーは、ただ自分の正当性を主張するだけではありません。相手の立場の矛盾、間違いを指摘し、善悪という一般的な価値観を引きずり下ろし相対化することで、議論を成功させているようです。

一見、本作はタバコ会社と、タバコ規制を促進する人々の戦いに終始するようにも見えます。もちろん、ニック・ネイラーが主人公ですし、「サンキュー・スモーキング」というタイトルの通りなのですが、この作品にはそれだけでは言い切れない部分がある。例えば、全編を通して誰もタバコを吸わないこと、結局どちらが勝者だったのかがはっきりしないことなど…

本編でも、監督のインタビューにもあったのですが、「自分の頭で判断すること」が大切だといわれます。タバコが正当化されるかそうでないか、そんなことは基本的に問題ではない。要は自分で考えること―いうなれば、本作はそれ自体で大掛かりな“論点のすり替え”を行っているのです。タバコが好きで、最近の風潮に物申したい方が期待して観にいっても、実はあまり効果はありません。

それでもエンタテインメントとしてはとても洗練された作品です。「インサイダー」「グッドナイト・グッドラック」の流れを汲む社会派+知的コメディ、爽快感が残ります。
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by murkhasya-garva | 2006-11-10 12:09 | 映画