休止中。


by murkhasya-garva
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

<第五回京都映画祭>蒲田行進曲

「蒲田行進曲」(1982)
b0068787_12555242.jpg
今回一番観たかった作品。知人をして「これこそ映画だ!」と言わしめ、観たことのなかったぼくはものすごい期待をしていったのでした。旧作をスクリーンで観られる、何と幸福なことか。本作は1982年に日本アカデミー賞で5部門の受賞。


人情に篤いが激情家なのが玉にキズの大スター銀ちゃん(風間杜夫)と、その銀ちゃんに憧れる大部屋俳優のヤス(平田満)。ある日、銀ちゃんがヤスのアパートに女優の小夏(松坂慶子)を連れてやってきた。銀ちゃんの子供を身ごもった小夏を、スキャンダルになるからとヤスに押し付けにきたのだった…

本作の撮影場所も、かの有名な京都撮影所!!…なのですが、今回は京都撮影所で映画に携わる人々を描くという、少し変わった視点からのヒューマンドラマです。そのためか出演者皆がオーバーアクト気味、天気がムードで変わるのだってお手のもの。それらの過剰な演出は、普段の作品なら鼻について仕方がないのですが、この作品に限って言えば違和感が全然ない。というか、舞台が舞台ということもあり、観る側はそれをすんなり受け入れてしまうようなのです。

こういうのをメタフィクションだとか言うはずなのだろうけど、ネット上で誰も言及していないということは、①単なる自分の勘違いか、②当たり前すぎて誰も言う人がいない、はたまた③そう指摘すること自体が何らかの形で禁じられている、のどれか(アホ…)。でもまさか初めて発見したなんてことは絶対に有り得ないわけで。たぶん①なのでしょう。

ともかく、オーバーアクションがまかり通ると、かえって登場人物のドラマは色鮮やかに描き出されます。銀ちゃんと小夏のシーンも、ヤスが小夏のために派手なアクションを買って出るのも。(これぞ演出のための演出!)この開放的なまでの演出、観ている側としては胸のすく思いがします。また、小夏とヤスの結婚式が階段落ちの舞台から直接なだれ込むシーンだって、なんだか演劇的でリアルです。

一所懸命に自分の愛した人を守り抜く――どんなにかっこ悪くても、ひたすらに努力するヤスの姿は多くの人々の共感を呼んだことでしょう。彼は完全無欠の超人ではなく、どこにでもいそうな、うだつの上がらない青年です。そんな彼が、小さな、しかし確かな幸せを得る―まさにぼくたちの等身大のヒーローとして描かれるのです。名もなく貧しく美しく。ヤスのためにあるような言葉です。

いつの時代に観られることがあろうとも、この作品は色あせることがなく、人々の心をとらえ続けることでしょう。これこそ映画。上映終了後に思わず拍手をしてしまいました。
若いうちに必ず一回は観ておきたい作品です。絶品。

そしてこれで、京都映画祭の鑑賞作品、計20本は全部書き終えました。
次回の映画祭では一体何を上映してくれるのか、本当に楽しみです。
[PR]
by murkhasya-garva | 2006-11-05 12:56 | 映画