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by murkhasya-garva
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<第五回京都映画祭>怪談雪女郎

「怪談雪女郎」(1968)
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古典として名高い雪女伝説がベース。田中徳三監督が、八尋不二の脚本によるリアリスティックなストーリーをもとに、藤村志保による雪女の世界を手堅く、迫力たっぷりに描きます。
・・・もう3日目になると周囲のざわつきにも慣れてくるもんです。


雪の山小屋で、仏師の与作たちは雪女に襲われた。師匠を目の前で殺した雪女は、他言しないことを約束させて彼を解放する。ある日、師匠の代わりに菩薩像作りを命じられた与作は、一人の旅の女・ゆきに出会う。二人は夫婦となり、幸せな家庭を築いていたが…。

恥ずかしながら、藤村志保を意識して見たのは今回がたぶん初めて。その初めての作品で、いきなり彼女の眉消しメイク。眉がない女優さんなのか?!(んなわけない) いやいや雪女の役柄がとても様になっているのです。鋭い目つき、黒髪に白装束姿は、まさに凄艶という言葉が似合います。
そういえば最近の女優さんには、この魅力を持った人たちが見当たりせん。逆に言うと、そんなものは現代に求められていないということなのでしょう。少し残念です。

本作は、雪女伝説を上手い具合に組みなおしたもの。仏師や菩薩像の話は独自に加えられたもののようです。これに似たアイデアは、木下順二の「夕鶴」にあることが指摘されています。練られたストーリーの中に詩情豊かなエッセンスが込められており、また、物語としても破綻なく充分に機能しています。

恐怖や冷血の象徴のように恐れられてきた妖怪雪女。彼女が、母を呼ぶ悲痛な子の声に振り返って見せる表情は、与作が作っていた菩薩像の慈悲にリンクしてきます。このラストは必見。本作のヤマ場で最も美しい。まさか雪女で涙ぐみそうになるとは思ってもいませんでした。
仏教説話と怪談物の出会い。若き藤村志保主演の作品は、とても完成度の高いものです。
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by murkhasya-garva | 2006-10-31 08:56 | 映画