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by murkhasya-garva
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<第五回京都映画祭>刺青

「刺青」(1966)
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谷崎潤一郎原作の同名小説の映画化。増村保造監督で若尾文子が主役を演じる。脚本はあの新藤兼人(「ふくろう」など)。ふと、「天使の恍惚」「新宿泥棒日記」に出演した横山リエと同一人物かと思っていました。何でかぶったんだろう。


質屋の娘お艶(若尾文子)は使用人の新助(長谷川明男)と駆け落ちに出る。しかし逗留先で悪人に芸者として売られ、体に巨大な女郎蜘蛛の刺青を彫られてしまった。やがて彼女は、本能のおもむくままに生きはじめる・・・。

主役を張った若尾文子の威勢のよさと、弾けるような美しさが目を引きます。彼女の美貌には色気がある。そして今でも現役で活躍している俳優には、旗本の芹沢を演じた佐藤慶がいました。「ゲルマニウムの夜」で朧に車椅子を押されていた戸川神父がこんなに若い!!彼のその間の作品を知らない分、時代の流れを強烈に感じてしまいます。

谷崎潤一郎の原作とあり、なかなか過激な場面の多い作品でした。色気あり、暴力あり、時代劇だからいいものの、当時は結構騒がれたのでは。その中でも刃傷シーンがすごい。直接的な描写はほぼないのに、それぞれの映像が「痛い」。剣戟からとどめに至るまで、終始緊迫した空気が流れます。いかにホンモノっぽく見せるか。カメラワークとカットのつなぎが素晴らしく上手く働いています。

男の生気、もとい正気を吸い取り、狂わせる魔性の女。刺青を彫られてからのお艶は、関わる男全てをとりこにしてゆくのです。お艶のために駆け回る新助は、その純情さゆえに次々と人を殺めてゆきます。いや、刺青を彫られてからではなく、本来男殺しの気質を持ったお艶にとって、芸妓商売は天職だったのかもしれません。

狂気にも似た妄執は、刺青を通じて多くの人を狂わせていきます。爛熟した精神の先に見るものは、エロスとタナトスという欲望の具現でした。一見の価値ありです。
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by murkhasya-garva | 2006-10-28 12:05