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by murkhasya-garva
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タムくんアニメ~ウィスット・ポンニミット作品集

「タムくんアニメ~ウィスット・ポンニミット作品集」(2001-2006)
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日曜、大阪でのバイト帰り、シネ・ヌーヴォに寄って観てきた作品。昨夜のオールナイトでフッラフラなのに、行きたくなってしまったのです。そんなお気楽な日も、おそらく今日で区切りをつけよう。いつでも夢を見てはいられない。・・・と思いながら、2回も観てしまいました。





タイからやってきた漫画家、ウィスット・ポンニミットの短編アニメ集。「ノートの落書きのようなタッチで描かれた」と言われますが、実際、ノートの落書きなんじゃないかと(笑)。確かに、「写実性」で上手い下手を分類するのは、マンガなどを評価する上で一番やりやすい方法ではあります。ちょいマンガ好きがよく使う言葉です。しかしマンガやアニメは、いわゆる“絵の上手さ”だけで評価されるものではない。

写実することは、絵を描くことの本来の目的ではありません。分かっているはずのことを改めて言うのも気が引けるのですが、絵は作者の表現したいことを伝えるための手段です。その中で、リアリティを持ちやすい写実的な作画は、想像の世界が直接的に見られるその「分かりやすさ」から支持され、ついには暗黙の基準とまでなってしまったのではないでしょうか。

絵に写実性があるか否か、その点においてマンガが選ばれていくのはとても残念なことです。そんな考えに染まった人たちに、この作品は見てもらいたい。ああ、絵本とか好きな方も観ると良いかもしれませんね。一見雑に描いた絵が、躍動感のあるBGMに支えられて生き生きと動き出します。7,80年代の日本のマンガを思わせるキュートな絵が、独特なやわらかさと優しさをもって動き出します。

彼の作品を観ていると、日本が置き忘れてきた一昔前の文化がパラレルワールドを通ってきたような感覚に陥ります。どこか懐かしく、しかし日本ではないどこかを確実に想起させるような世界。絵本から飛び出してきたような素朴な絵柄と、昔読んだことのあるようなピュアなストーリーが魅力的です。そして何よりも、そのパラパラマンガチックな絵柄に添えられる、原作者によるジャズ調のピアノ伴奏。素晴らしく上手い。

b0068787_016192.jpg手塚治虫が取ったスターシステムのように、本作では同じキャラが何度も現れます。例えば、しりあがり寿のキャラのような「したくん」。そして彼のマンガの顔であるマムアンちゃんと愛犬マナオ。彼らの存在は、脱力系というより、見る者の心を和ませてくれます。実際に、ポンニミット氏はこのキャラたちに特別思い入れがあるのでしょう。

個人的には「彗星」が一番好き。彗星の女の子と地球の男の子のラブストーリー。これだけ台詞が入っているのですが、タイ語の甘ったるい寝言のような響きと、日本ではもはや見られない純愛ストーリーがたまらなく切ないのです。シンプルなのに、だからこそ、泣けてきます。

ほろ苦い想い出、儚く燃え上がる恋、隠された才能、人間の生と死。様々なテーマがやわらかなタッチで描かれていきます。時には妄想が交じり合い、シュールな世界が生み出されることも。
彼の作品は、DVDやネットでも見ることができます。必見です。
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by murkhasya-garva | 2006-10-10 00:19 | 映画