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by murkhasya-garva
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マルキ・ド・サドの調教哲学

「マルキ・ド・サドの調教哲学」(2005)
b0068787_13322370.jpg天六ユウラク座にて鑑賞。「ティント・ブラスの白日夢」といい、アルバトロス・フィルムから連続してこの類の作品が配給されたようです。この類の作品も、観客を相当選ぶと踏んでのことでしょう、オフィシャルサイトはそういう惹句を惜しげもなく使っていますね~。仕方ないけど。
原作はサド侯爵の「閨房哲学」。


サンタンジュ侯爵夫人は、弟フラテロから無神論者の哲学者ドルマンセ侯爵を紹介される。2人は性や神についての考え方で意気投合する。夫人は温泉地で出会った18歳の無垢な少女ユージェニーを一緒に調教しようと話を持ちかける。

マルキ・ド・サドといえば、何年か前に本人を描いた「クイルズ」が出ました。当時は地元にいて、こんな作品も世にあるのか!!と驚き、何ヶ月も上映を待っていたのです。が、そんなマイナー作品が田舎に来るはずもなく。近所のレンタルビデオ店にもなぜかなく、結局いまだに観ずにいるのです。
そこで少し彼の小説を読んだのですが、相当にエグい。想像の限りを尽くしたアイデアと表現に、うら若く清純な少年のぼくは世界観を叩き壊されそうになったのでした。

以前観た「ティント・ブラスの白日夢」、今思えば、あられもないエロス!な作品でしたが、本作は原作が有名な文学作品だということもあり、エロテイストよりも、むしろ文学的な香りが強い作品となっています。しかも舞台は近代のヨーロッパ、彼らは独自なりの「哲学」(というお題目)をかかげて大胆な行動をしているというのですから、多少は冷静に見ることもできるでしょう。

ドルマンセたちの哲学について言い出すと、原作者の思想ともリンクして面倒なことになります。が、その中でも目を引いたのは、彼らの宗教観。彼らは神の信仰を否定し、しかし創造主の存在を認めます。つまり、善悪というのは、「神」の名によって人間が作り出したものであり、本来の創造主にはそもそも善悪の区別がない、というのです。いわゆる倫理観といったものを根本から否定しようとするわけです。

彼らのそんな言葉に励まされ、若いユージェニーは調教を施されます。はじめは羞恥心や嫌悪感をあらわにするものの、興味と欲望が彼女を支配してきて…その変化の演出がとても上手い。ドルマンセの悦びに満ちた笑み、ユージェニーが羞恥に目を泳がせる表情、フラテロが下着をずり下ろす瞬間!!
必要以上の露出を抑え、ポイントとなる部分をしっかり撮ることで、エロスは格調高さや上品さをかねた映像となっています。

一方で、当時の価値観に縛られた存在として、ユージェニーの母親が現れます。神経質で、醜くしわのよった老婦人。彼女がサンタンジュ夫人の計画に無駄な抵抗をすればするほど、“厳しい戒律”がこっけいで無力に見えてきます。戒律の行き過ぎたキリスト教に対し、反対の意を唱える強烈なメッセージ。サド侯爵の描いた世界の意味が分かるような気がします。
エロスといえど、なかなか面白い出来になっています。興味があればどうぞ。
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by murkhasya-garva | 2006-09-26 13:33 | 映画