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by murkhasya-garva
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ルート225

「ルート225」(2005)
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芥川賞受賞者、藤野千夜の原作を映画化。京都みなみ会館で今日まで上映。こういういい作品がなかなか出回らないのは本当に残念です。配給会社が大きいからって、いい作品ができるとは限らんと誰もが知っているはずなのに・・・前回に続いてグチばかりです。


中学2年生のエリ子(多部未華子)は、両親と弟のダイゴ(岩田力)との4人でごく普通に暮らしている。ある日、帰りが遅いダイゴを探しに行ったエリ子は、隣町の公園で弟を見つける。シャツに落書きをされて帰れなかったダイゴを説得し、帰ろうとしたが、なんだか微妙に風景が違うような・・・?!

ゆるくておかしく、ちょっと切実なストーリー。
注目すべきは、ごく普通の家庭の中学生の演じる、多部未華子と岩田力の会話や動き、掛け合い。とても軽妙で息が合っていて、さりげないやり取りがとても自然に演じられているのです。出演する役者の子達は、いわゆる美少年美少女といったたぐいではないんだけど、そのどこにでもいそうな、しかし確かな存在感にとても好感が持てます。多部未華子の、意外に(!)透き通ったやわらかい声もいいですね。

クリームシチューに牛乳をドバドバ入れるお母さんをこっそり見て、「ありえないありえない」と呟いたり、ダイゴのシャツに思いきり「ダイオキシン8倍!」と油性で書かれていたり、家の柵から顔をのぞかせている犬を微妙に避けていったりと、いちいち芸が細かい。ニュアンスの妙、とも言う演技が世界観を支えています。

14歳から15歳に変わる、それこそ微妙に周りの世界が変化する時期を、本作は寓話的に描きます。国道225号線を越えると、何かが変わっていた…つまり、ルート225=15という時期を意識せずに越えてしまったわけです。何か身の回りのことがビミョーに変わっている、それは確かに本人にも分かる。このビミョーな変化とは、言うまでもなく、エリ子の感性の変化です。それに伴って、BGMもそのビミョーな違和感やおかしみを見事に、ゆるやかに表現しています。

姉弟にとって一番大きかったのは、家から両親の姿が見えなくなったこと。いつまでも会えなくて寂しくて、泣いてしまったりもするけど、2人は案外したたかにやっていきます。順応性の高さというのか、彼らにとって、どちらが本当の現実なのでしょうか。実は今まで気付いてなかったことが現実になっただけなのかもしれません。

「2人でこの世界に来ちゃったってことは絶対に何か意味があるんだよ」とダイゴは言います。姉の感性の変化にまきこまれてしまった弟も、実際は姉と同じことを感じていたのかもしれません。両親からの緩やかな自立、そのみずみずしい強さを本作は存分に感じさせてくれます。
高校生くらいの子達に観て欲しい作品です。中学生では少し早いかな。
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by murkhasya-garva | 2006-09-22 15:40 | 映画