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by murkhasya-garva
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機械じかけの小児病棟

「機械じかけの小児病棟」(2005)
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大阪はホクテンザにて鑑賞。モタモタしていたら受付のお兄さんに案内された…が、端に一人座っているだけで、他は誰もいない。間違えたかと思い、確認すると「そこでいいですよ~」とのこと。客少なすぎだろ。仮にも国際的な評価を受けた作品、なのに。。。


イギリス、ワイト島のマーシー・フォールズ小児病院は、老朽化のため閉鎖が決まり、子どもたちが移送されることになった。その病院に派遣されてきた看護婦、エイミーは、院内で発生する異常な出来事に不審を抱く。彼女は病院の忌まわしい過去を調べ始めたが・・・。

洋モノのホラー、といえば、モンスターがグワーッと出てきて血しぶきドバーのアギャーで怪物め覚悟しろ、とザクッとやってズーンと終り、みたいなものを想像してしまいます。しかし今回は観れば観るほど味の出てくるゴシック・ホラーとも言うべき作品。無駄な演出がなく、感覚に訴えてくる不吉な音響、不安を掻き立てる視線がドキドキさせられる。しかもストーリーもテンポ良く着実に進むので、世界観にどっぷり浸かることができ、怖い怖くないとヤンヤン言わんですむ、まさに上質な作品なのです。

古びた病院、閉鎖された二階の病棟、シャーロットという名の幽霊。悲鳴にも似た奇怪な音、看護婦は怯えた目で中空を見つめ、少年少女の骨がボキボキ折られる…そんな不気味な中で「何か出る!」という不安感をあおるシーンが連発するのです。その度にドキドキします。いたるところで散りばめられるこのドキドキ感は、舞台となる小児病院全体を奇怪な存在として映し出します。

そう、大きな建造物を舞台のホラー、というと「ゴシカ」「ゴーストシップ」「蝋人形の館」を手がけたダークキャッスルを思い出しますが、これらは人間vs.幽霊とか、人間の欲望、狂気といったものをモロに扱うものばかり。本作は、幽霊は人間が立ち向かいようのないもの、むしろ共存すべきものとして扱っている点で、多くの洋画ホラーと一線を画しています。むしろ日本のホラーに似ているでしょう。

その「死者への理解」ともいうべき姿勢は、作品全体に一貫するテーマとして用いられます。登場人物たちもシャーロットの存在を知り、理解しようとします。恐ろしくとも、それが何であるかを直視することが重要だというのでしょう。実際に、耳を塞いでデスメタル(“擬似的な死”?) に夢中になるスタッフはエライ目に遭うし…。死者とは、いつも我々のそばによりそっている…そんなメッセージは、スタッフロールの冒頭の「愛するマデリーンへ捧ぐ」からも明らかです。

最近のホラーに珍しく、恋愛やバトル、スプラッタといったお安いネタに寄ることなく、一本太いテーマを通して作り上げられた作品です。ストーリーも、ノリに頼らず堅すぎるほどに着実で、展開ごとに胸のつかえが取れるような思いがします。スパニッシュホラー、もといジャウマ・バラゲロ監督、侮るなかれ。
い~映画ですよ。
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by murkhasya-garva | 2006-09-22 02:31 | 映画