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by murkhasya-garva
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ハチミツとクローバー

「ハチミツとクローバー」(2006)
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羽海野チカ原作の人気少女マンガを実写化。今年最も公開を心待ちにしていた作品でした。上映までに各雑誌で特集を組まれ、待ちきれずに何冊も読んでしまいました。読めば読むほど観たい気持ちが募るのです。




この作品、弟からマンガを勧められて2,3年前に読み始めたのがきっかけ。何という世界でしょう。細く、やわらかい線に乗って、登場人物がみんな淡い片思いをする。その一方で、作者の自称オタクっぷりも絵に表れます。「この人、どんだけマンガ読んでるんだ?」と思わせるほどの絵柄の多彩さ、コミカルさがとても目を引くのです。

今回、あまりに原作に感情移入しすぎて、冷静に観ることができませんでした。予告編ですでに、もう待ちきれないムードになっていたくらいです。そんなんなので、2回も観て、ほう…とため息。うっとり。
マンガのキャラが生きて動いてる、それだけで感動するんです。原作の一部分がそのまま描かれる場面を見るだけで、涙ぐんでしまう。恋してる人の表情は、見るだけでくらくらしてしまう。はぐちゃんの笑顔を見るだけでとろけてしまう。完全に作品に恋してますね。…え、気持ち悪い?すみません。

本作は、マンガならではのギャグの演出を潔くカットしている一方で、原作の柱となる世界観をしっかりと汲み取っており、「全員が片思い」という状況を見事に描写しています。それが成功し、所々アレンジされた部分も破綻することなく、ほぼ一貫したものとなっています。原作では語られていない片思いの結果も、ひとまず落とし所を取ることができているのです。

「片思い」という報われない想いを抱えて、状況を解決させる、とは一体どういうことでしょうか。別の誰かを好きな相手を好きになる、告白して振られる、そういったあらゆる状況を含めると、大体散々なことになるのは目に見えています。そこで監督の取った、原作にない台詞「ありがとう」は、確かに打開の一打でした。「片思い」とは、見返りなしに愛することと考えると、それは「無償の愛」のようにも映るのです。

また、注目すべきは一つ一つのシーンの完成度です。美大というカラフルな環境で切り取られるワンシーンは、一枚の写真のよう。動き回る登場人物から視点をずらすと、はっと息を呑む情景が目に入ります。監督の温かい視線が伝わってくるようです。

もちろん、役者さんたちのはまり方もハンパではありません。一番似合わないと思われた関めぐみが、最初のシーンで片思いの空気を最高に発揮します。蒼井優も、小さくて妖精みたいで、笑顔が本当にかわいらしい。男たちも思った以上にはまり役です。見事に、原作の「片思いモード」のままのキャラが現れたようです。

常に、温かい視線を持って作られたような作品。いまだ連載中の作品に対して、キャラを歩かせることでたどり着いた先は、ちょっとした理想郷でもありました。
原作が好きな方にもオススメ。青春が香る、良い作品です。
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by murkhasya-garva | 2006-09-11 07:19 | 映画