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by murkhasya-garva
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神の左手 悪魔の右手

「神の左手 悪魔の右手」(2006)
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楳図かずお原作のホラーマンガ、実写化。本作は彼の作品の中で「最も怖い」とされるもの。監督は平成「ガメラ」三部作の金子修介。このマンガ家にこの監督、ある意味怖い。
原作者本人も出演しているが、その役柄もかなり不気味。



悪夢にうなされ、首から大量の血を噴き出したソウ。姉のイズミは、ソウの願いを聞き、ある町の“白い家”へ女の子を救いに向かう。だがその先には、想像を絶する恐怖が待ち受けていた・・・

色々な面で、とてもバランスを欠いた作品でした。理不尽なキャラの設定、差があり過ぎる役者の演技、そして、子供だましの特撮。そのアンバランスさは、いわゆる「リアリティ」を飛び越えて、作品全体に奇怪な印象を与えてくれます。現実と虚構を行き来するようないびつな世界観。簡単に「怖くない」と言わせないこだわりが、この作品にみなぎっているようです。

読めば分かりますが、楳図かずお、花咲トオルなどの描くホラーマンガは、独特の表現がされます。リアリティどうこうではなく、感覚的に不快感を呼び起こすための誇張表現が多く用いられるのです。これを映像化する場合、そうとうの映像技術が必要になるはず。いかにチープさを抑えて、また映倫に引っかからないような恐怖シーンを撮るか。かなりの難題です。

結果的にリアルな表現が出来ず、人形などで代用しているのですが、案の定がっかりするほどのチープさ。生首が冷蔵庫から現れた時点で、「カンベンしてくれ~」と呻くほどでした。しかも、子役の演技には限界があって…どうしようもなかった部分が、思い切りアダになっているようです。残念。
出来ないことはやらないほうがいい、とも思うのですが、この作品、やらねばならないことが多すぎました。

しかし、そのチープさを埋め合わせようと工夫している点も多い。全体的に薄暗く、少し粗めの映像は、「どこに潜んでいるか分からない」という不安をかき立ててくれます。お決まりの、ドバドバの血しぶきも外せませんね。

キャストでも、一人恐ろしいほど気を吐いているのが田口トモロヲです。数々の作品のバイプレイヤーとして確かな演技を見せていますが、今回は物凄い気の入りよう。ノッペリとした顔、黒目がちの眼が両生類のような、不気味な質感を持って迫ってきます。そして、ラストの鬼の形相は圧巻の一言。黒い服に身を包んだ彼の殺人鬼っぷりは見逃せません。彼の演技を見ただけでもうおなかいっぱいです。
若手の渋谷飛鳥、前田愛なども頑張っています。しかしまだ世界観に溶け込め切れてないようです。悪くはないんだけど…。

ストーリーの突っ込み所は満載なのですが、言っても仕方のないことです。この映画のポイントは、楳図作品の「気色悪さ」を体感できること。バランスの悪さは一品だけど、そのなじみ方もハンパではない、という不思議なことになっています。邦画のホラーにしては良いほうかもしれません。
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by murkhasya-garva | 2006-09-08 12:55 | 映画