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by murkhasya-garva
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胡同のひまわり

「胡同のひまわり」(2005)
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京都シネマにて、ちょうど同時期に「玲玲の電影日記」を上映していました。こっちは観にいけず、絶対にこれは観ようと意気込んでいました。館内は7割の埋まりよう。ふと前の席を見ると、うちの学部の教授がご友人と鑑賞。何だかほほえましいですね。



エスカレーターを上がると、どっかで見たような顔が…誰だったっけ…学校行ってないからじゃないですよ!専攻が違うので、あまり顔を見ないんです。それにしても、50代で同世代の友人と映画鑑賞、何だかいいじゃないですか。30年後にも映画を見に行っているような、そんなツレがほしいものです。

ある日、捕虜生活から父親が帰ってきた。遊びたい盛りの向陽‐シャオヤン‐は、絵を描かせようと強いる父に馴染めない。時折心が通じ合うようだが、やはり父の強圧的な態度は、向陽を反発へと向かわせ…
中国の変革期を背景に、父と子の愛情を豊かに描いた物語です。

極端だとは言え、こんな家族も今の時代にあるのでしょうか。自分の果たせなかった絵描きへの思いを息子に託して、徹底的に息子の生活を縛り上げる父親。ちょうど世代的には息子に近いぼくは、彼の無念さと悔しさに共感してしまい、もどかしい思いを感じていました。そして、同時に感じていたのは、不器用な親子の温かい絆…。

ともかく、父親のやりようは相当に厳しい。絵を描くまで外出禁止、息子の上京を阻止、彼女を堕胎させるなどなど。行き過ぎにも思われる彼の行動を見ていると、彼を通り越して、彼に似ているイッセー尾形まで憎らしくなってきます。

しかし、彼の才能を開花させるのが、この才能を見抜いた父の務め。自分がどんなに嫌われようと、そばを決して離れず、丹念に育てる。そんな父親の意図が見えたとき、息子のもどかしさは氷解します。父の願いとは、「向陽」=ひまわりが、大輪の花を咲かせることにあったのです。

とはいえ向陽は、父の意図にずっと気がついていなかったわけではありません。どこかで真意を感じ取り、結果、それが彼の絵になった…「失憶と追憶」とは、まさに向陽の、家族観の再確認だと言えます。
また、それと同時に、本作は中国の“成長”のメタファーともとることが出来ます。

「よい父親ではなかった。やり方がわからなかった」とはいえ、自分のことを深く思ってくれる父親。その姿に、観る側は涙せずにはいられません。最も強圧的な父親が、実は最も無私の人だったのではないか。

長尺で、起伏が単調なので疲れるかもしれません。しかし、メッセージに気付くことができれば、逆にその世界に浸っているのが心地よくなってくる作品だと思います。心温まる作品。これはオススメ。
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by murkhasya-garva | 2006-09-02 18:28 | 映画