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by murkhasya-garva
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<日英ホラー映画・最恐伝説!>マタンゴ

「マタンゴ」(1963)
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約40年前、恐ろしい映画が総天然色で現れた。人間の醜いエゴや欲望を描ききり、多くの人々に計り知れないショックを与えた作品。本作の反響は大きく、日本映画ベスト100にも選ばれている。極彩色の怪キノコ、マタンゴ。人々の欲望を掻き立てる存在。






惹句はこれくらいでいいでしょう。実は、最近のホラーのような作品を想像していたのです。スピード感のあるパニックシーン、うごめく異形の生き物、飛び散る血しぶき。そういった作品群と比べて観てしまったものだから、何が怖いのか分かりませんでした。この記事の冒頭にも「一体、このセレクトはどういうつもりだ」と書くところでした。それだけぼくが刺激的な映像に慣れてしまったのが、惜しまれます。

本編では異形の生命体―マタンゴやそれを食べた人間が数多く現れます。当時の特殊メイクを駆使して、グロテスクな演出を試みたのでしょうが、きょうび朝の戦隊モノでもそんなのやってねえ。今ではピンク映画でこの程度のメイクが使われるばかりです。例えば、井口昇監督の「恋する幼虫」(2003)の方がグロさで言ったら勝っていますね。演出方法でも、黒沢年男主演の「血を吸う薔薇」(1974)方がよほどドキッとさせられる。

そういった映像技術は、今ではすでに怖くもありません。では内容はどうか。極限状況に追い詰められた青年たちは、食欲や性欲といった、むき出しの欲望をさらけ出します。互いにいがみ合い、自分だけが助かろうとするその姿は、醜悪としか言いようがありません。これは確かに、子どもに見せるとショックを受けそうな内容です。当時は騒然となったのかもしれませんが、今では…ねえ。

いやいや、本来今の作品群と比較すべきではないのでしょう。後世の人々が、この作品を通過して更なる良作を手がけてきたことを考えると、この作品を捕まえて良し悪しを言いたてるのは、本当に詮無いことです。今や、沢山の映画が現れ、消費されていく。その中で古今東西ひっくるめて作品たちを評価するためには、さてどうすればいいのでしょうか。

ともあれ、本作ではマタンゴという怪キノコが内容にも大きく関わってきます。
「東京も、あの無人島と同じ化け物ばかりだ。ぼくもあの無人島に残れば良かったのかも」
一人生き残った青年の独白は、本作の政治思想的なメッセージまで浮き上がらせているようです。当時の時代背景や、製作者の意図を読み取るという意味では面白い作品です。

「最恐伝説」やら「絶叫」というタイトルでくくるべきではなかったですね。以前、新文芸座のオールナイトで「怪奇人間」と銘打っていた方が、よほどしっくり来ています。
昔のB級ホラーとしては有名ですので、未見の方はこれを機に観てみて下さい。
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by murkhasya-garva | 2006-08-29 16:14 | 映画