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by murkhasya-garva
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インサイド・マン

「インサイド・マン」(2006)
b0068787_111918.jpgスパイク・リー監督作品。銀行強盗を「簡単だ」と言ってのける男が仕組んだ完全犯罪を、一部始終にわたって描いた作品。謎めいた映像にヒントを散りばめ、「解いてみろ」と言わんばかりの挑戦的な内容が、とてもリズミカルに映し出されます。
クライブ・オーウェン、デンゼル・ワシントン、ジョディ・フォスターなど出演。


この作品、大阪は天六ホクテン座にて鑑賞しました。ここも地元に密着、といった風情の映画館です。ユウラク座よりも整った内装だけど、よく見ると壁紙の端が変色していたり、おっちゃんおばちゃんが上映開始後にもぼちぼちと入ってきて、何かやってたり…。とはいっても、この空間自体が、そういう“紛れ”を許容しているような雰囲気があり、いちいち目くじら立てるのは違うような気がしていました。

チラシでは「50人全員が容疑者 あなたにはこの謎が解けるか」とあり、まるで「アンブレイカブル」のような謎解かせ作品を思わせる点が印象的です。何でもなさそうな、しかし少し違和感のある映像。謎めいた、何らかのキーワードになるような台詞。一体どこに目をつけたらいいのか…と一人で混乱していました。
実際にラストで謎は解かれるので、心配しなくてもよかったのですが。

主犯格のダルトン(クライブ・オーウェン)が仕掛ける完全犯罪の主軸は、「実行犯と人質が見分けられない」という点。人質には実行犯と同じ服装と覆面をさせます。そしてことあるごとに、その人質をトランプのようにシャフリング…実行犯のメンバーも紛れ込み、一体誰が犯人なのか分からなくなっていきます。
主犯格のクライブの作戦は、この主軸をもとに素晴らしく知的に遂行されてゆきます。

しかし、「謎を解け」と言われると、どこまで解けばいいのか分からなくなります。ただでさえ情報が少ないと、推測でおぎなう部分が大きくなり、果てにはストーリーを理解しているのか、設定に突っ込んでいるのかまで分からなくなってしまう。そういう時は、黙って観ていると何とか帳尻が合って、いちおう満足してしまうものではありますが…

ダルトンの信条は「誇りを失わないこと」。彼は、冷酷非道な犯罪者としてではなく、誇り高い人間として描かれています。なぜ彼がこの銀行を襲ったのか、そして何をしようとし、結果的に何をしたのか…そこから浮かび上がる実行犯ダルトンの姿は、実は「義賊」なのです。
知的なクライム・アクションだが、……監督の確固とした信念が感じられます。

オープニング映像から暗に示されるヒントは、「情報は時間とともに跡形もなく消えさる」でしょうか。注意深く観ておきたいものです。作品全体にわたって散りばめられる知的な仕掛けと、会話に見られるユーモアセンス。
監督のユニークな視点が、映画の中でも異彩を放ちます。
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by murkhasya-garva | 2006-08-23 01:12 | 映画