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by murkhasya-garva
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<ポップコーン・ナイト vol.24> 才女気質

「才女気質」(1959)
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今回のポップコーン・ナイト、最後の作品は、「至極のモダニスト」中平康によるソフィスティケイティッド・コメディ。当時の京都の界隈、そしてあのイノダコーヒなど、かつての姿が映し出されます。京都の表具師の家で起こる世代の衝突をコミカルかつシニカルに描いた逸品。        



まず説明から。上記のソフィ何ちゃらとは、都会的な会話とその妙で笑わせようとする、洗練された作品を指すそうです。監督の中平康に冠された言葉は、ミルクマン斉藤氏の本「至極のモダニスト 中平康」からいただきました。彼はモダンとソフィスティケイション(言いにくい…)を好み、テクニックを至上のものとする方だったとか。彼が一躍話題となった作品は「狂った果実」(1956)。石原裕次郎主演作です。

個人的な好みでいったら、轟由起子演じる登代の役柄が本当に好かんのです。一家を纏め上げるほどのバイタリティ、そして負けん気の強さと頑固さ。うちの母ちゃんを見ているようで胸焼けしてきます。悪い人なんかじゃないんだけど、融通の利かないところがなんとも腹立たしいやら…まだまだ僕も若い。
そんな彼女が最後にカラカラと笑うのを見ていて、僕は「あほくさ、しょーもなっ」と呟いたのでした。

作品自体は、ものすごく歯切れがいいのです。たとえば、登代を中心に登場人物のせりふ回しがやたら早い。もちろんプリントの保存も良いのでしょうが、彼らのこなれた京都弁は必死にならずとも聞き取れるんです。シャキシャキと弁の立つ登代と対照的に、とぼけた雰囲気の似合う、大坂志郎演ずる市松の適当な加減がとてもほほえましい。

そして何よりも若く華やぎを持った女優たち。表情もせりふもクルクルとよく回り、可愛らしいとはこういうことを言うのだなあ、と感心していました。因みにここで出演する吉行和子は、出演で(新人)と付いています。時代の流れに驚きます。周りも「新人?!」とざわついていました。

彼女をはじめ新しい世代は、登代の言うことなど聞きもしません。息子の令吉(長門裕之)に嫁いだ呉服屋の娘は、家にじっとしていない。娘の宏子(中原早苗)も、あれほど反対した一夫(葉山良二)と結婚して家を出て行く。中国帰りの一夫には、笑顔で「母さんと話していても埒は明きませんから」と言い切られ・・・

我を張り通し、人の意見も聞かない登代。憎たらしくも、一家の台風の目として立ち回る強烈なキャラは、確かに印象的です。また周囲の人々とのやりとりも、どこにでもありそうで、その軽妙さや機転の利き方が舌を巻くほど巧みです。往年の作品の中でもある種、異色の傑作だと思います。ぼくもあと20年位したら納得しながら観ていることでしょう。
中平康の作品、一度は見てみるべきですよ。
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by murkhasya-garva | 2006-08-18 01:59 | 映画