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by murkhasya-garva
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<ポップコーン・ナイト vol.24> ハックル

「ハックル」(2002)
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ポップコーンナイト2本目は、これまた異色作。弱冠28歳であった監督が、映画学校の卒業制作で作った作品を国際的に評価され、数々の映画賞を受賞。観る者を不思議な世界のとりこにします。
タイトルはハンガリー語でしゃっくりのこと。



ハンガリーの田舎でしゃっくりを続ける老人。老人の周りでひびく自然音、生活音が織り交ざり、不思議な空間を作り出します。台詞もなく、ドラマもない。あるのはただ、色鮮やかな田舎の風景と「音」です。
そこで思い出したのが、以前観た「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」。この自然音の連なりは、ノイズミュージックに近いのではないでしょうか。

それにしても、色々な音と映像をつなぎ合わせるだけで、こんなに面白い作品が出来るとは。確かに上映終了後に「寝とったわ~」という声はちらほら聞こえました。ぼくも寝てしまうのを心配していたのですが、なぜかスクリーンから目が離せないのです。次に何が出るのかという期待と、ナンセンスの中でも何とかドラマ性を見出そうとする癖が、興味を持たせていたのかもしれません。

前半は、牧歌的な風景が流れ、音が鮮やかに響きます。そして、段々と奇妙な光景が挟まれるようになる。村人に配られる小びん、池の中の水死体、女を見つめる警官、突然倒れる老人・・・。

何かドラマが起きるのかと思ったものの、これらの奇妙な光景はいとも簡単にスルーされてしまいます。それはまるで、「音」の連続の中では、モラルの区別すら存在しないかのようです。そして、生と死にとどまらず、可視のものから不可視のものまで、大から小まで、あらゆるものを網羅するように、豊潤なイメージが映像となって広がります。

その豊かなイメージの中心となっているのが、しゃっくりをする老人。彼はまさに、村という小宇宙の生命の中心となっているようです。「しゃっくりひとつで、世界がひっくり返る」ほどではありませんが、彼のしゃっくりは、この世界の心臓の鼓動のようにも思えてきます。

他の映画とは一風違った作品。台詞がなく、ひたすら自然の風景や人工物を、音とともに映し出すという点では「ナコイカッツィ」などQATSI三部作に似ているような気もします。興味のある方は見てみるのもいいかも。意外とはまります。
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by murkhasya-garva | 2006-08-16 09:44 | 映画