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by murkhasya-garva
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ジャスミンの花開く

「ジャスミンの花開く」(2004)
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三代にわたる女の人生を描いた作品。
チャン・ツィイー主演。ジャスミンの中国名になぞらえ、3人の娘、茉(モー)・莉(リー)・花(ホア)を鮮やかに、華やかに演じ分ける。
母、祖母役のジョアン・チェンの安定した演技にも注目。
京都シネマにて上映された。


出演する女優の魅力を堪能したい、そんな方にオススメな作品というのが時々現れます。映像効果を中心に演出するのでもなく、ストーリーに重点を置くのでもなく。それは往々にして「つまらん」作品となるのですが、その反面、出演する女優への愛に溢れていることがあるのです。例えば、佐藤江梨子の「キューティーハニー」だとか…。

この作品も、チャン・ツィイーがスクリーンに出づっぱりで、一面的には彼女の魅力を伝える作品だと言えます。実際に、一代目の茉(モー)の話は、いわば悪い男にだまされる娘の話のみであり、特になんの伏線、ヒネリもありません。波乱に富んだ人生を送るチャン・ツィイーの姿からは、本エピソードは彼女の独壇場というにふさわしい。まさに、見るところは彼女の魅力だけです。

しかし、娘の莉(リー)が茉の人生に入り込み、花(ホア)が莉の人生に関わりだすと、やにわに彼女たちの人生は深みを帯びてきます。それは、親子の微妙な感情の絡みというタテの関係のものと、一人一人が、逃れられない女の性(さが)と共に生き、代々の業を重ねるという、ヨコでの関係とがあります。常に彼女たちは、愛をめぐり、男と我が子のことで苦悩するのです。

三代をかけて続く女の人生。茉が子や孫の人生を狂わせた、という訳ではないのですが、後に続く莉や花は、明らかに茉の影響を受けています。子や孫の、男との交際を危ぶむ茉。そこには伝統的な習慣からくる分別臭さ以上に、自分の経験に基づいた非常に感情的な側面を見せます。そうやって重なっていった女たちのコトバは、一体孫たちをどのような人間にしてしまうのでしょうか。

とはいえ茉の孫にあたる花しかり、逃れられぬ哀しみの連鎖もどこかで昇華されるのでしょう。花もまた、母や祖母と似た運命を背負うことになります。花がそれから新たな希望を抱く姿は、今までの呪縛から解放されたかのようです。母や祖母が超えられなかった、時代や女性性の呪縛。花がこれらを乗り越える姿は、世代を超えて、人間が成長してゆく姿をも現しています。

そして、彼女たちの中に残り続ける歌。「茉莉花」の流れるシーンは、彼女たちの最も美しく華やかな部分を象徴するかのようです。本作は、代を重ねるごとに、静かにしかし確実に、情感を深めてゆきます。
克服のカタルシスというのか、そこに滲み出る温かさは、観る者の涙を誘うことでしょう。
またこの作品でも、泣きそうになってました。
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by murkhasya-garva | 2006-08-12 16:01 | 映画