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by murkhasya-garva
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<アリス&ザ・ワンダーランド Night>ラスベガスをやっつけろ

「ラスベガスをやっつけろ」(1998)
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今回のオールナイト1本目。偶然にも、4月にシネセゾン渋谷で、「リバティーン」先行上映ナイトの際に観た作品です。ジョニー・デップのハゲ頭が見られる貴重な作品です。役作りのために、彼はわざわざ頭を剃ってきたとか…。とにかく見所満載の1本。



本作の“ワンダーランド”とは…ドラッグ漬けの男たちが見る幻覚、幻聴です。ケース一杯にヤクを詰め込んで、ラスベガスへ向かうジャーナリストと弁護士。行く先々でキメてるものだから、ずっと幻覚を見ている。映像は彼らのトリップを色鮮やかに描き出します。見ていて本当に頭がグラグラしてくる。

薬物をテーマにした作品は、「レクイエム・フォー・ドリーム」(2000)、「ブロウ」(2001)があります。また、薬物中毒者が現れる作品には、「アメリカン・サイコ」(2000)、「パーティ☆モンスター」(2003)、「ウォーク・ザ・ライン」(2005)などが有名です。

しかし、このトリップしたときの意識の混濁を描写した作品といえば、ウィリアム・バロウズの小説が一番近い。目の前の混乱した光景を、一歩引いた場所から冷静に見ていて、しかしその冷静な意識すらも時折途切れ途切れになってくるという、最悪の世界です。バロウズは「カットアップ」という新手法によって、混乱する意識を描き出しました。

本作はバロウズの小説よろしく、刺激的な映像が目を引きます。視界は色を変え、不規則に揺れる。人の顔は怪物のようにゆがみ、バーは爬虫類のひしめく恐ろしい宴に変身する。床や壁の模様が動き出し、現実と幻想の境目が見えなくなっていく・・・心身に自信のない方は、洗面器を常備しておくことをお勧めします。

また、字幕でも無意味な文節で区切って表示することで、内容を理解しにくくするのに手伝っています。
そのことに気付いたのは、彼らがしらふのときでした。トンでいるときと違い、考えを端的に表現しているのがかえって新鮮に見えるのです。まるでしらふの自分たちや人間の営みすらも冷笑するように、吐き捨てられるジョニー・デップの台詞には、思わずドキッとさせられます。

そしてこれらの演出を根っこから支えているのは、何と言っても2人の俳優の名演技です。ジョニー・デップ、そしてベネチオ・デル・トロ(「21グラム」「シン・シティ」)の、今にも狂ってしまいそうな過剰なまでの演技が最高にイカしている。脂汗をかき、目をギョロつかせ、奇声を発する・・・

2人のどちらかがラリっているとき、一方はなぜか覚めている。このことは、2人と彼らを取り巻く「正常な」世界との関係にも現れます。彼らが醒めた目で狂気じみた世界を見るとき、一体どちらが正常なのか分からなくなってきます。薬物中毒者が、人間やこの世界をより深く理解する――この逆説的で挑戦的な姿勢にてらいがないとは言い切れませんが、通常とは違った視点から理解するには、興味深いものがあります。

それにしても、これが1本目とはアクが強すぎでしょう(笑)・・・
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by murkhasya-garva | 2006-07-30 23:55 | 映画