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by murkhasya-garva
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SPL/狼よ静かに死ね

「SPL/狼よ静かに死ね」(2005)
b0068787_18193060.jpgアクション映画は、ホラー映画に次いでなかなか観る機会に恵まれません。最近のハリウッドのアクションもグッと来ない。そこで京都みなみ会館にて観たこの作品は、思わず見つけた掘り出し物(失礼)。カンフーアクションとはこんなに面白いものだったのか!!と感動した一本です。


舞台は香港。黒社会の大物であるポー(サモ・ハン)を逮捕すべく、チャン捜査官(サイモン・ヤム)らは証人を確保した。しかし、護送途中に何者かに襲撃されて証人を殺され、自らも重傷を負ってしまう。
それ以来、執拗にポーを追うチャンだが、彼は脳に悪性腫瘍が見つかり、早期退職を余儀なくされる。後任にマー(ドニー・イェン)を迎える一方、辞任前にポーを何としても逮捕しようとするのだが・・・

アクションもので、最近有名なのが「マッハ!!!!!!!!」(2003)です。この作品が周囲に与えた影響は大きく、アクション監督のドニー・イェンも対抗して、「SPL」を作り出したといいます。
そこで選ばれた設定がノワール。香港では「インファナル・アフェア」や「ベルベット・レイン」など数多くのフィルム・ノワールが手がけられてきました。爛熟した文化の副産である黒社会。本土に根付く、妖しく花開いた文化の美を生かすことができた作品としても、「SPL」は素晴らしい出来だといえるでしょう。

本作品では、いわゆる勧善懲悪ものとは当然ながら一線を画します。黒社会のドンに私怨をたぎらせる捜査官は、罪を捏造してでも逮捕にこぎつけようと躍起になります。そこでは、通常は成立するような善悪の単純な対立構図が成立しなくなってしまうのです。しかも、血で血を洗う彼らの後ろには、例外なく愛する者の姿がある。いわゆる‘倫理観’を頼りにして、一方を応援することができない以上、観る側は必然的に彼らの死闘の結末を、ただ見守るしかなくなるのです。

観る者を捕らえて引きずり込む、烈しいアクション。死闘を繰り広げる俳優たちは、紛れもなく一流のアクションスターです。カンフーという近接戦を、ものすごいスピードで展開させる彼らに見惚れてしまいます。そこらの生ぬるいアクションシーンなど比較にならない。サモ・ハンの体に似合わぬ敏捷なアクションや、ドニー・イェン、ウー・ジンたちの相当に徹底したリスクの高い技の運びは、「痛み」を感じる迫真のものであり、やはりただただ息を呑んで見ているしかありません。

憎悪と悲劇の連鎖を展開させてゆく本作品。烈しいアクションシーンに加え、夜の世界の彩りのコントラストが非常に美しく映え、彼らの運命を浮き立たせるような音楽が情景を盛り上げます。悲劇を予感させる、控えめながらも荒涼としたオープニングからも、この作品が芸術作品として十分に成立するといえます。

・・・と感動に打ち震えて、もう一度観に行きたい!!と、大阪はトビタシネマまで行ってきました。名画座で、「アサルト13」「アブレイズ」との3本立てで500円という破格の値段なのですが、その環境は値段どおり。キャップをつけたおっさんたちが所狭しと陣取って、ゴミは放置、床を灰皿にタバコの火が点々。しかもフィルムの音声がかすれていたり、スクリーンには何やら飲み物を投げつけた跡が…。
ちょっとしたカルチャーショックでした。

そんな環境で観たから、とは言いたくないですが、やはり2回目はさすがに慣れを感じていました。新鮮さがなくなれば、アクションは魅力を失うのでしょうか。また、技の運びが多少見えるようになっていて、よく見ると技が意外に軽く、効果音でカバーしているように見えます。やられる相手も、派手に痛めつけられているはずなのに、ハンパじゃなく肉体が強靭だったり。

それでも、ウー・ジンの刀捌きはすばらしい。薄気味悪い笑い顔で、踊るように切り刻む様子はまさに芸術的です。ドニー・イェン対ウー・ジンのバウトも、何度見ても、すごい!と唸ってしまいそうな出来でした。
アクション映画で、これは外せません。絶対に観るべきです。
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by murkhasya-garva | 2006-07-28 18:21 | 映画