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by murkhasya-garva
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死者の書

「死者の書」(2005)
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原作は、民俗学者である折口信夫が釈迢空の名で著した「死者の書」。本作はアニメーション監督・人形美術家の川本喜八郎が、長い期間を経て完成させた人形アニメーションです。メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞など多数の映画賞を受賞。



奈良時代、仏教が最も新しい文化であった頃、藤原南家の郎女(いらつめ)は、称讃浄土教の千部写経の発願を立てた。千部の写経を果たした郎女は、この世をさまよい続けている大津皇子の魂と出逢う。二上山に浮かぶ俤人(おもかげびと)と重ねて見える大津皇子と互いに惹かれあい、郎女はその魂を一途な祈りによって鎮めていく・・・

4月の頭、東京は神保町の岩波ホールで1回目を観ました。30分前に着いたというのに、すでに長蛇の列。しかもそのほとんどが高齢者だったのには驚きました。こんな光景初めて見た。上映場所は、いかにも昭和期に作られた感のある演劇ホール。イスが低いし、段差がないため、前の人の頭が邪魔して見えにくい!横幅もせまいなあ。動けない。。しかも朝イチだったから、途中で意識飛ぶ。もうショボンでした。

そこで京都みなみ会館にて2度目を鑑賞。バイトの直後にチャリを飛ばして行ったものだから、汗ダクダクです。それでも意識が飛ぶこともなく観ることができ(少し遅れたけど…)、満足のひと時でした。

本作は、NHKでかつてやっていた昔語りの人形劇のようなものです。人形は生身の人間と違い、雑多な要素を含んでいません。だからこそ作品全体に流れる静かな空気。人形や背景はその静謐さゆえに、作品に込められる主題を確実に伝えてくれます。人形が動き回る世界は、ここではアニメーションというより、生命を吹き込まれた仏教画のようにも思えます。

蓮の糸を織ってゆくように、丁寧に織り上げられるストーリー。まさに「澄みわたって」という言葉があてはまる、物心両面での静けさを感じさせる作品です。しかし、通常の映画を観るのに慣れていると、ちょっと辛いかもしれません。時間が長く感じられる。そして寝る。
今回は世界観に浸ることができ、「ああ、映画って本当にいいなあ・・・!」と幸福感を味わっていました。

実力派の俳優が演じる声も味わい深いものです。宮沢りえが演じる郎女の声が素晴らしい。時にかわいらしく、時には意志の強さを感じさせるピンと張った声音。声を使い分けるということが、この作品では特に大きな役割を果たしているようです。例えば江守徹の恵美押勝の声は、場面は少ないながらも、押勝の人柄をしっかり感じさせてくれるのです。

日本の仏教文化の美しさを知ることのできる数少ない作品です。
当然好みは分かれますが、日本人なら見ておけ!と言いたくなるような良いものでした。
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by murkhasya-garva | 2006-07-26 01:55 | 映画