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by murkhasya-garva
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リベリオン

「リベリオン」(2002)
b0068787_11213530.jpgあの「アメリカン・サイコ」のクリスチャン・ベールが主演の作品。以前から噂は聞いていたが、名もないマイナー作品だろうと思って通り過ぎていたわけです。「面白いから借りてきて!」そう言われなければ、これからも観なかっただろう作品。しかしその実は、隠れた名作。
「ウルトラヴァイオレット」のルーツでもあります。


この作品のポイントは、何と言っても「ガン=カタ」に尽きます。従来のガンアクションは、極端な話、数撃ちゃ当たる的な、物量作戦の域をどうしても出ることがありませんでした。他の格闘シーンでは統制された美しさにも言及されるのに、何故ガンアクションに限って、オ○ニーっぽいのか…。そこで現れたのが、この「ガン=カタ」。武術で重視される形(かた)をガンアクションに取り入れ、銃撃戦に様式美を加えたという点で、このアイデアは革新的だといえるでしょう。

近未来の管理社会を舞台にした作品は数多くあります。「アイランド」「イーオン・フラックス」・・・支配=被支配の対立構図や、全体主義的な世界観はどれも似たり寄ったりです。しかも近未来の世界は、あくまで空想にしか過ぎず、監督の妄想とも取れる表現が一貫性を乱していると、結局「おいおい…」と一気に白けてしまうことも少なくありません。その点で「リベリオン」は、監督の作りこもうとする意志がビシビシ伝わってくる、数少ない力作であると言えるのです。

指導者の「ファーザー」のもとで一糸乱れぬ平和な社会を維持する、その目的のためには全てが統制される必要があります。生活様式、思想、そういったものをまとめるために不必要なのは感情です。感情を抑え、人間行動の最大効率をめざす・・・その目的で作られたものの一つに、「ガン=カタ」が位置づけられます。まさに「ガン=カタ」という、統制された合理的な戦闘テクニックは、全体主義社会の“華”なのです。

しかし、人間の最大の魅力である感情を殺した社会なんて、結局不自然でしかありません。感情抑制剤を切らしてしまったプレストンは怒涛のように溢れる感情に戸惑うのですが、この抑制剤、あまりに切れるのが簡単すぎる。管理社会として成立しないくらいに脆いのです。他にも、同僚のブラント(テイ・ディッグス)はキャラ自体が感情的過ぎないかだとか、そもそも理性と感情はどこで分けられるのか、ということを考えると疑問は尽きません。
だいいち管理社会の設定が非常にきわどいので、かなり無理があるのですが・・・。

それでも、それらの弱点をフォローするために細心の注意が払われているのには感心してしまいます。例えば感情抑制剤は、管理社会を象徴する産物であると同時に、その効果の弱さは、不完全な管理社会の末路を示唆していた、と考えることができます。同僚が感情的なのは、管理社会が成立してまだ日が浅いから、といえば大丈夫(これはかなりキツイ)。

細かい点を上げると切りがありませんが、やはり映像美には注目すべきところがあります。「ガン=カタ」をめぐる戦闘シーンですが、様式美が素晴らしい。主人公が強すぎます。ラストバトルははっきり言って地味ですが、これこそ「ガン=カタ」の極地!!と言うべきでしょう。見た目よりも技術を重視した点に、監督の信念が感じられてすごく好感が持てます。
(もしかして、「東京ゾンビ」のラストバトルはこのシーンのオマージュなのでは・・・。)

政治や思想を中心軸にSFを作り、そして一貫性を保つために、安きに流れず可能な限りの工夫を凝らした作品です。「ガン=カタ」は今後のアクション映画に大きな影響を及ぼした・・・のかよく知りませんが、少なくともこの命脈は「ウルトラヴァイオレット」につながり、美麗なアクションシーンを見せてくれることになります。
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by murkhasya-garva | 2006-07-23 11:22 | 映画