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by murkhasya-garva
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<惑星★Night>散歩する惑星

「散歩する惑星」(2000)
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京都みなみ会館にて6月24日に催されたオールナイト「惑星★Night」に行ってきました。今回は普通の作品とは一風変わったカルト臭のするものばかり。こういう場でなきゃなかなか見ないような作品ばかりでした。
1本目はスウェーデン発、「散歩する惑星」。邦題はウルトラセブンの作品タイトルから付けたとか…。原題は「二階からの歌」(??)。2000年カンヌ国際映画祭で審査員特別賞受賞。





1本目からかなり不思議な作品です。CGは不使用、カメラは各シーンでアングルを固定。徹底したローテクによって「散歩する惑星」の住人をおそう不条理を見つめ続けたとき、その世界観は、かなりシュールで、こっけいで、温かくて、時にシビアなものになります。そこにリコーダーのような音でクラシックなメロディが流される、この作品独自の寓話っぽさが匂いたちます。
なぜか登場人物みんなの顔が白塗りだったり、周りの人々が合唱していたり、ものすごい人数を動員しているように見せたり…。一体住人たちはどこへ行こうとしているのか、かなり気になる。

懸命に生きる人々をめぐる不条理な出来事、この「なーんかうまくいかない」感とわけの分からない状況に観る側もいつの間にか引きずりこんでしまいますが、一方では数々の符合と象徴に満ちた側面も持っています。たとえば住人は何かに憑かれたかのように一斉に同じ方向へ殺到するのですが、世紀末的な状況においてのこの行動は、ヒステリックにさえ感じます。「ビルが動いた」と議会がパニックになるシーンは、次の年に起きる911事件を思わせます。また少女をいけにえにする場面なんて、人々の時代の逆行そのものであり、ある種のパニックとも取れます。

そして周囲の迷走に加わらず、病んでしまった人も現れます。実は彼らこそが、この世界に足りない精神的な価値を大切にする人なのでしょう。大勢の盲目的でドグマティックな考えに対して、冷静に自分自身の視点をもつということ。そしてこれが新しい世界を開くカギのようです。盲目的で、しかし必死な人々はそのカギにうすうす気付いているのかもしれません。しかしどうしようもなく追い詰められなければ、選択することすらできません。

現代を生きる人々に、行き詰まった感を打ち破る視点を与えてくれる作品なのかも。一見、壮大で間の抜けた寓話のように見せていますが、温かな視線でこの困った世界を見つめ、一方で鋭い切り口を見せるという点で、底力を感じさせます。ぱっと見では訳の分からないシュールなところが好き。
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by murkhasya-garva | 2006-06-26 07:40 | 映画