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by murkhasya-garva
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ATG Film Exhibition 第4日目「天使の恍惚」

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睡眠不足がたたっていつ意識が飛ぶかヒヤヒヤした「ATG Film Exhibition」は4日目。最後を飾ったのは若松孝二監督作品の「天使の恍惚」(1972)です。





公開直前に近くの交番が爆破され、また連合赤軍事件とも重なったため「無差別テロ」を助長する、と上映反対のキャンペーンを張られたほどの問題作なのだそうです。

この作品で描かれるのは、政治闘争に身を置く若者の性と暴力、これに尽きるのではないでしょうか。具体的な政治的発言はありませんが、内部の混乱を描写するだけでその雰囲気は伝わってきます。
それにしても、シーンが変わるたびにベッドシーン、というのは笑ってしまいます。これこそ若者の象徴的な姿なのでしょうが、政治を語るにもまず性と暴力ありき、というのは何とも原始的というか素直というか…。
でも、世代的感覚を描いたものとして、当時の観客には何かしらの共感と発奮を促したのかもしれません。観に来ていた友達の前の初老の方は、しきりにうなずいていたそうです。

しかし、この作品を“最も過激な問題作”と呼ぶのはいいのですが、上映反対キャンペーンを行った、というのはどうなんでしょうか。それは過激なアクションゲームが青少年に悪影響を及ぼす、と言うのよりも説得力が薄いと思います。もし、近くで交番が爆破されなかったら、連合赤軍事件の時期が違っていたら、キャンペーンは張られなかったでしょう。
目の前に起きていることを安易に関連付けてしまう、短絡的な人の情が伺われます。

若松監督は「映画に影響力なんてない」と表現します。多少彼一流の謙遜もあるのでしょうけど、芸術作品が社会を生み出すのではなく、芸術作品は社会を切り取るものであるという考えは納得できるような気がします。彼は巧まずして当時の感覚を描き取ったのかもしれません。そういう意味では反響は大きかったようですね。

でも映画の技法という点ではちょっと…。低予算だからか、暴力の演出は笑っちゃうほどチープだし、キャストのわざとらしすぎる台詞回しに失笑が漏れてしまいます。
でも、この作品の注目すべきところは技術云々ではなく、「どういう思いで、どういうテーマで作っているのか」(足立正生氏談)です。思わず笑うところも、作品観からは重要な役割を持っていることもあるでしょう。激動の時期を生きた反権力の人の語り口に注目しておきたいところです。

若松監督は「実録・連合赤軍」を撮ろうと資金集めを行っています。彼独自の、運動家の視点からの作品が観られるかもしれません。その際には「光の雨」や「突入せよ!『あさま山荘』事件」で予習を。

アフタートークが予想以上の面白さであったATG Film Exhibition。
今回のようなATG特集はお金を払っても観にいきたいですね。密度の濃い4日間でした。
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by murkhasya-garva | 2006-06-11 23:50 | 映画