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by murkhasya-garva
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グッドナイト&グッドラック

「グッドナイト&グッドラック」(2005)
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ジョージ・クルーニー監督の「コンフェッション」に続く第2作。半世紀前のアメリカの伝説的ニュースキャスターとその番組スタッフを描いた社会派作品。アカデミー賞主要6部門ノミネート、第62回ヴェネチア国際映画祭3部門受賞、他多数の映画賞受賞。



1953年、冷戦のまっただなか、アメリカでは共産主義者の排除活動、いわゆる「赤狩り」が猛威を振るっていた。少しでも疑わしい者がいれば標的にされる、その恐怖は一般市民、そしてマスコミすらにも広がっていた。そんな中、CBSのニュースキャスターのエド・マローは「赤狩り」の急先鋒であるマッカーシー議員を自らの番組で批判する…

“感想”を書くに当たって最もやりにくいタイプの映画です。基本的に当時の状況を知らないと、彼らの深刻さなど分かるはずもなく、まして政治問題に関わる話は興味ないという方々には「何これ」の一言で片付けられかねません。かく言うぼくもほとんど知識のないまま観にいったので少し苦労をしました。
あまり書きにくい書きにくい言うと「じゃあ書くな」ということになりますが、そこはご愛嬌。世間知らずの映画ファンが観るとどんな印象を受けるのか、ご覧ください。

まずこの作品の特色はモノクロで統一されていること。2000年カンヌ映画祭でグランプリを受賞した「鬼が来た!」でもモノクロを用いていましたが、過去の出来事を描写する上で当時をしのばせる効果的な方法だと思います。今回はそれがテレビ局内という限られた空間なのがまたいい。静かさを感じさせる白と黒の組み合わせは、シンプルで時には芸術的な印象すら受けます。

上院議員のマッカーシーと正面切って対決する番組のスタッフとマローの姿は、モノクロの映像を通して、観る者にさらに緊張感を与えます。特にエド・マローがカッコいい。彼はマッカーシーの言葉巧みに放つデマをきっぱりと否定し、彼の欺瞞を逆に告発します。マロー役を演じるデビッド・ストラザーンの眼光は鋭く、決意の揺るがないその男前ぶりが本当にしびれさせてくれる。シブい。
彼は番組の最後に決まってアップでこう言います。「Good night, and Good luck」 惚れます。

ただ、実際にはそうでもないのですが、見ようによっては単調で飽きてくるかも知れません。張り詰めた緊張感を解く意味でも、2,30分おきに、番組終了時の緩やかなジャズが挿まれます。女性歌手の情感たっぷりに歌い上げるジャズは、優雅でどこか懐かしさを感じさせるものです。その映像は他のシーンと違って動的で、特に歌手の大きく動く口がとてもエロティックです。オープニングでも流れるジャズは、この作品のムードを素晴らしく描き出しているといえるでしょう。

マローの強い意志を横目に揺れ動く人々。彼を信頼していながらも、やはりその権力の大きさに屈してしまいます。彼らの思わぬ行動はマローたちに影を落としますが、本来何をすべきかがはっきりと分かっている者にとって、立ち止まる理由にはならないようです。マスコミとして市民の自由を守るべく歩んだ姿は、誰よりも勇気があり、強い。

アル・パチーノ主演の「インサイダー」(2000)同様、血を流さない戦いが展開される秀作だと思います。舞台がCBSという点では共通していますが、本作はタバコ会社が応援していること、そして「インサイダー」ではタバコ会社を告発している点で、対照的な関係にあるようです。本作はみんなしてタバコモクモク吸ってます。それを考えると結構面白い。もちろんそれ抜きでも十分に楽しめると思います。秀作。
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by murkhasya-garva | 2006-06-02 15:31 | 映画