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by murkhasya-garva
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ブロークバック・マウンテン

「ブロークバック・マウンテン」(2005)
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アメリカ公開後数多くのを受賞し、また一方で内容に関して上映を禁止した州も出たという作品。予告編や上映直前で受賞した映画賞を一気にスタッフロールのように流すという、他では真似できないようなことをやってみせた。「今、映画の歴史が変えられようとしている」なんて惹句も。


1963年、ワイオミング州。ブロークバック・マウンテンの農牧場での季節労働者として、イニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ギレンホール)は出会った。共に助け合いながらひと夏を過ごし、性格の異なる2人は深い友情を築く。それは、程なく友情を超えた関係へと変わっていったのだが…

多分、ここ最近でこれほどまでにセンシティブな映画が出たことはないと思います。確かに男同士の愛情を扱ったという点でもですが、それ以上にストーリーそのものが本当に繊細で、じわりじわりと胸を締め付ける感動が広がってくるのです。まるで昔の名画を見ているような感じ。相手を狂おしいまでに愛しいと思う。その気持ちを真正面から描いた作品です。

ゲイ映画という位置付けからこの作品を観るのはともかく、色モノを見るかのようにこの作品を扱うべきではありません。確かに今までの作品の多くは、同性愛という愛の形が「異質」であることを前提とし、時には逆説的な方法を取って(例えば「僕の恋、彼の秘密」)、観客に理解を促してきた傾向があります。しかし、この作品に限っていえば、なぜ彼らが愛し合うようになったのか、ごく自然な流れとして観る者に伝わるはずです。すべての愛に通じるかたちがここにあるのです。

もちろん、男同士という社会的に許されない関係ならではの特殊な状況も多く出てきます。イニスの妻の「浮気されている」ことの苛立ちなど、通常はあまり考えられません。つまり、今まで描かれた数多くの男女間の恋愛もの、それとの比較構図をやすやすと超える新鮮さがこの作品を評価の高いものにしているとも考えられます。もちろんアン・リー監督がそれを丁寧に描写できたからだ、ということも忘れてはいけません。

良い映画であるとはどういうことなのか。時代を追うごとに撮影技術は高度なものとなり、映像効果をCGによって求める作品が増えてきました。また奇をてらった内容ばかりに目が行きがちでもあります。本作はそんな作品とは正反対の方向を行き、そしていまだ映画の王道であり続ける要素を盛り込んだものになっています。
2人の男を大きく包み込み、まばゆく光るブロークバック・マウンテンの自然。優しく見守るように奏でられる音楽。無駄のないストーリー展開。そして苦悩する男を繊細に深く演じるヒース・レジャー。どれをとってもあの切ない感動を呼び起こすのです。

しかし、最近の刺激の強い映画を当然と思っている人には多少物足りなさを持たれるかもしれません。流れるように展開するストーリーに、臆面もなく「だから、何?」と言う感覚。この作品がいかに緻密に作り上げられているかを考えれば言えない台詞ですが、ぼくも含めてそう言いかねない人が増えていることは恐ろしいことです。
観ていない人は、是非とも観るべし。観た人は、もう一度観るべし。もっとも、上映時期はほぼ終わっているのですが…。
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by murkhasya-garva | 2006-05-13 23:47 | 映画