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by murkhasya-garva
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Touch the Sound

「Touch the Sound」(2004)
b0068787_13244574.jpgこの作品を観た渋谷Q-AXシネマ(2006年1月28日オープン)、ユーロスペースは円山町のラブホテルがずらずら並ぶ中にあるわけですが、その外装、内装ともにシックでいい雰囲気です。中に入ると木の香りがし、劇場内は広々として背もたれも高い。何より音響で床が微妙に振動するため、特に音楽映画の場合はまさに「体感」できるわけです。新しい建物はやっぱり良いですね。

エヴリン・グレニーとフレッド・フリスは、廃墟となった大きな工場跡を録音スタジオに、新しいCDの製作にとりかかる。そこにある機械や手すりに至るまで、あらゆる物から発せられた音から、音楽が紡ぎだされてゆく。彼女はグラミー賞を2度受賞したパーカッショニストであり、第48回グラミー賞最優秀独奏者パフォーマンス部門にもノミネートされている。

音が聞こえないとはどのような体験であるか。聞こえなければ本当に音は当人にとって存在し得ないのか。今までの先入観を覆すような作品でした。’touch the sound’:「音に触れる」ということ。天才パーカッショニスト、エヴリン・グレニーは難聴ながら、音を体全体で感じて演奏します。難聴であることは彼女にとって障害ではなく、いわば身体の可能性を、認識されてきた機能を超克した姿なのです。

彼女自身、音についての考えはとても深く、一つ一つの台詞にとても強く揺さぶられるような感覚を受けます。この世は音で溢れていること。静寂こそが最も大きな音であること。「生きる」とは息(いき)をすることであり、息を練ることがとても重要であること(鬼太鼓座のスタッフの言葉)。・・・一つ一つがなるほど、と思わされるのです。それは一般論ではなく、彼らの経験から生まれた、実のある言葉。

全編を通して音に囲まれることになるのですが、その中で行われるライブは今まで体験してきたものとは異なる体験をすることになります。体を通して感じる音。その自由なリズムでの音の連なりは、ぼくにとって始終ゾクゾクしっぱなしのひと時をもたらしてくれました。ギタリストのフレッド・フリスは「即興音楽とは、人生を奏でることである」とも言っていました。

エヴリン・グレニーの作り出す音。「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」でのノイズミュージックのような即興性に似ているような気もしましたが、これは一定の手法に基づいた上で自由な旋律を作っています。体全体に染み渡るような、無上の喜び。ラストの演奏はすばらしく美しいです。音楽に興味のある方は絶対に観にいくべきだと思います。

本作品の魅力はHPでも垣間見ることができます。そこから音の可能性を再認識する手がかりをつかんでみてはどうでしょうか。
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by murkhasya-garva | 2006-05-02 13:27 | 映画