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by murkhasya-garva
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ククーシュカ ラップランドの妖精

「ククーシュカ ラップランドの妖精」(2002)
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東欧の国で不思議な物語ができた。フィンランド最北の地ラップランドに置き去りにされたフィンランド兵と重傷を負ったロシア兵は、近くに住むサーミ人の女性に助けられる。しかし3人の言葉は互いに通じず、何だか不思議な暮らしが営まれることに…。


去る4月5日にシネアミューズで鑑賞。
監督はロシアで人気を誇るアレクサンドル・ロゴシュキン。本作はモスクワ国際映画祭で最優秀監督賞、最優秀男優賞など5部門独占受賞。

言葉が通じないこと、心は通じ合うこと。

日本では見慣れないような、静かに冷たく広がった森や湖。そんな場所のそばに人が住んでいること自体実感のしようもないのですが、住人は逞しく生活しているというのだから驚きです。その光景は異郷ということもあり、まさに夢か魔法の世界に迷い込んだかのよう。

言葉が通じなければ、言いたいことが通じない。しかも3人それぞれが別の言葉だと一体どうなるんでしょうか。話したい者は勝手に話し、苛立つ者は勝手に罵る。まるでバベルの塔が崩壊したような状況です。塔の役夫はそれから散り散りに去っていきましたが、この3人、もともと言葉が違う上にどこにも行けないときた。では意思疎通を図るしか方法はないわけです。

言葉を分かたれた人間が最後に出会う場所、ラップランド。そういう風に解してもいいのかもしれません。皆が互いに分かり合える、そんな平和が未来に待っているとしたら、人間はバベル以来の悲劇を免れることができるかもしれません。

そしてサーミ人のアンニ。旦那が徴兵されて4年間男なしという状態に、突然2人も逞しい男がやって来た。興奮した彼女の台詞に笑ってしまいます。時折みせる笑顔も何とも魅力的。また、アンニの魔法。黄泉の世界の描写は、その迂遠な光景の中、思わず気が遠くなりそうな神秘的な雰囲気がとても印象的でした。

決して急ぐことなく、しかし退屈させることなく。必要なシーンを必要な分だけ切り取ってみせるという点、一切の無駄がないという点である種の完成形だと思います。とても居心地良く観ることのできる作品です。
まるで魔法をかけられたような気分にさせられる不思議なおとぎ話。ラップランドという神秘の世界で、現世の来し方行く末を映し出されたような気になりました。
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by murkhasya-garva | 2006-05-01 17:41 | 映画