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by murkhasya-garva
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変態村

「変態村」(2004)
b0068787_12897.jpg東京では渋谷のライズXにて公開。あのユニークな空間の見下ろす方の席で鑑賞。
京都は京都みなみ会館にて公開。2005年ジュラルメール・ファンタスティック映画祭では審査員最優秀賞、国際批評家賞、プレミア観客賞受賞。ファブリス・ドゥ・ベルツによる狂気の愛を描いた問題作。原題の”calvaire”は「受難」の意。

ポスターは赤と黒ベースの何とも不吉なデザイン。タイトルも「変態村」と安物ホラーばりの安直なネーミングなのだが、いわばそれだけの潔さに好奇心半分、尻込みしてしまう。基本的にホラーは得意ではありません。ビビッてはいたけど、観ないわけにはいかない。しかしライズXの雰囲気もですが、もう、本当に、最初から逃げ出したくてたまらなくて…。腰半分浮いた状態で本編が始まったのです。

最初に言っておきますがこれはホラーではないそうです。純粋な愛の物語です(誰が信じるんだ)。とはいえ恐怖度がハンパではない。村人の狂気から逃げられず、為すがままの主人公。いつ壊されてしまうか、そんな途方もない恐怖と不安感が伝わる前半が本当に怖かったです。観ていて、「早く主人公死んでくれ、そしたら怖いのが終わるから」と本気で思ってました。逃げ場の無い痛みを眼前に突きつけられるという、拷問にも近い辛さがビリビリと伝わってきます。
村人の集団狂気もハンパでなく気持ち悪い。ピアノとか、ダンスとか。(そういえば、ラストの村人が川を越えるシーン、どこかで見たような気がしませんでしたか?)

しかし、恐怖や苦痛がメインではありません。例えば示される愛情の形は多様で、宿の主人+犬を探す青年と村人とで対立します。相手に狂おしく執着するような愛vs.原始的で破壊的な愛という感じです。また、宿の主人と犬の青年は師弟的な信頼関係にあり、対象は違えど同じ愛の形なのが印象的です。
オープニングでマルクは老人ホームでも熱烈な愛情を受けるのですが、まさに彼の姿は「受難」の人。つまりキリストとも重ねられるというのでしょうか。

この作品を恐怖で終わらせないのは、文字通り恐怖一辺倒ではないところにもあります。前半に続く徹底的な痛みを期待していただけに少し失望もしましたが、これがホラーで無いことを考えれば納得の結末です。小咄で出てきた小人が実際に映るのは非常に寓話的ですし、ラストの締め方は本作のテーマを示唆していて、非常に詩的な印象を受けます。とても象徴的な映像、夢を見ているかのようなカメラワーク。いつの間にかその光景に酔い、自分が批評しようとしていることすら忘れてしまいます。

村という閉鎖社会に潜む恐怖。結構ありふれているのか、邦画では「奇談」や「雨の町」を、洋画ではそれこそ「蝋人形の館」などを思い出します。作風でいうと、日本で言えば園子温の「ストレンジ・サーカス」がよく似ていますね。
細かい配慮と一貫したテーマが観客を悪夢の渦に巻き込むような作品。少しでも興味があったら、重い足を引き摺ってでも観にいって下さい。「うええ」って感じになること請け合いです。
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by murkhasya-garva | 2006-04-25 01:04 | 映画