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by murkhasya-garva
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スクールデイズ

「スクールデイズ」
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0歳で芸能界デビューを果たした相沢晴生(森山未來)は、普通の生活に憧れ突如の引退。しかし学校ではいじめられ、いいことなんて一つもない。友達の勧めがきっかけで学園ものドラマに出演するが、与えられる役柄はいじめられっ子…



「世界の中心で愛をさけぶ」の森山未來、初主演作品。大変気合が入っていて好ましい。セカチューなんかよりこっちのほうが好きだ。

個人的には見事に引き込まれてしまった作品でした。感動とかいう基準ではなく、なんというか共感してしまうんですね。この「痛い」感覚は身に迫るものがある。ただ単にいじめられる映画ではないのがポイントなのかも知れません。大抵モゾモゾしてしまうのに、見入っていて身動き一つ出来なかった。
ギャグで展開する前半で世界観を作っておき、後半は溜め込まれた違和感が膿のように噴き出す。その巧い仕掛けにはまってしまいました。

この作品は、一貫して「現実と虚構の区別」に焦点が当てられます。オープニングでは本当に某有名監督やベテラン俳優が大真面目にコメントしていたり、実際に曲を提供しているハイロウズの名が出てきたりと、現実の境目がわからなくなる予感がしてきます。
また伝説のドラマの「はみだし!スクール★デイズ」はそのまんま金八先生のパロディ。現実ではありえない現実を描くドラマが、観る側をいつのまにか眩惑させる役割をするのです。
そしてこれが本作品のタイトルである「スクールデイズ」の意味。“daze”は「めまい」のことです。

相沢晴生は役に入れ込みすぎてノイローゼになった経験のある少年。現実でもドラマでもいじめられる彼は結局ドラマに没頭しておかしくなっていく。耐えられない現実の負荷が大きくなるだけ、彼の錯乱はひどくなっていくのです。
憧れの赤井豪(田辺誠一)、もとい鴻ノ池幸一先生がどこからともなく現れて、晴生にアドバイスをくれる。もっとも、それは至極真っ当なアドバイスなのですが。

現実逃避の一方で、晴生はドラマには異常なほどのリアリティへのこだわりを見せます。スタントをいれずに階段落ちを敢行したりと、身の危険なんかそっちのけ。この現実と虚構の逆転現象をなぜ彼は望んでいるのか。それは彼にとっての現実が、本当の苦しい現実ではなく、居心地のいい「スクール★デイズ」に他ならないからです。

もっとも、現実感のないのは晴生だけではありません。彼をいじめる間山たちも同じことです。痛みへの想像力が欠けていることを、最後に晴生は現実と虚構の境目で伝えたのです。「人の痛みは、自分の痛み。君も知ったほうがいい」と。

劇中劇となる「スクール★デイズ」はものすごい単純さでストーリーが進行します。しかも強引なオチでのラスト、キャスト降板の辻褄あわせなどその不自然きわまりない世界は、長寿番組の学園ものの現状を皮肉るという役割も持っているようです。と同時に、ノー天気な雰囲気は結果的にシリアスに張り付きそうになるところを脱力させてくれもします。山本太郎は本当にいいキャラを演じてくれる。

観た後に満足!!といえる性質の作品とはまた違いますが、確実に見ごたえのある作品だと思います。深刻になるのではなく、むしろ「痛い」ほうかと。観客の方がうつむき加減に映画館を出て行っていたのが印象的でした(笑)
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by murkhasya-garva | 2006-03-26 16:16 | 映画