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by murkhasya-garva
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イーオン・フラックス

「イーオン・フラックス」
b0068787_14544168.jpgシャーリーズ・セロン主演作品の3作目。「モンスター」「スタンドアップ」で大変好評だった彼女が、今度はSF映画に挑戦。
また近々ナタリー・ポートマン主演の「V フォー・ヴェンデッタ」が出るので、近未来の連作ものか?と思っていたが違うようだ。しかし今後は目白押しになる模様。


シャーリーズ・セロンを観るのはこれが初めて。前作を観ていないのに今回観るのはすごくミーハー丸出しで何だか気が引ける。

2015年、人類の98%がウィルスによって滅亡した。残された人類は一箇所に集められ、隔離されたその地で理想郷を作り上げた。グッドチャイルド家により代々その管理されてきた社会、ブレーニャで、人々は何一つ不満なく生活していた。しかし、一方でこの体制に反抗する組織「モニカン」が秘かに作られていたのだ…

何がすごいってシャーリーズ・セロンがすごい。髪を黒く染め、恐ろしく均整の取れたスタイルで近未来的な服装を颯爽と着こなす彼女の魅力と演技力はハンパではない。アクションも素晴らしく、体一つで敵を斃していく姿がカッコよすぎる。この作品は彼女で成り立っている、といっても過言ではない。それだけ彼女の魅力が強いのだ。

この作品は大部分が戦闘シーンである。であるがゆえに、戦闘にはしっかりと力を入れているようだ。武器の使用にしても体術にしても無駄な飾りがなく、戦闘シーンの美しさを十二分に出せている。それでいて、前回の「ナルニア」のような現実感のなさも解消するだけの入魂ぶりにとても好感が持てる。

ストーリーでもあまり退屈させない。随所に散りばめられた世界観の謎も、出し惜しみすることなくスムーズに話の展開に沿って解き明かされるので、欲求不満にならなくてすむ。ただ多少複雑になっているのか、ストーリーをちゃんと追っていかないと流されるがままになっていまいそうだ。とはいえ、観ているだけで楽しめるとも思うが。

また、SFであるべく多くのアイテムが未来的(悪く言えば突飛)だが、パチンコ玉型ロボットや皮膚移植など、さりげなく使っていてわざとらしさを感じさせない。必要な所で的確に使うアイテムが、作品全体への違和感を減らしていると思う。監督の中でちゃんと各アイデアが消化されているということだろう。

この作品は、恐らく多くの作品を下敷きにしているだろう部分がかなり見受けられる。精神界で他人と出会い、対話するというアイデアはナイト・シャマラン監督の「セル」によく似ている。精神界内部のデザインのイメージが奇抜なのが面白い。この作品の根幹に当たるアイデアは「アイランド」によく似ている。このネタは以前から使い古されている感があるが、よくアレンジしていると思う。

全体のデザインが目を引く。日本風のしつらいが色々なところに配置されていて、しかもそれぞれが空間にそれなりに落ち着いているのが面白い。洋画によくみる日本好き好きオーラが空回りしているのとは違い、一定のコンセプトをもっているように思える。和風+ポップアートの部屋が個人的には好き。

しかし、この作品で残念なのは、肝心のアクションのリアルさに物足りなさを感じるところである。どれだけ兵士の首が勢いよく折れても、「セロンかっこいいなあ」で終わってしまう。トレヴァー()が兵士に撃たれても、状況がすぐに把握できない。そして、SF要素が強すぎるのかどうも「痛み」のような現実感に欠ける。
こういったアクションの優雅さや背景の美しさやSF的背景、といったメリットが他の部分の魅力を妨げているような気がするのだ。
謎解きの部分もそうだ。謎解きを本格的にさせようとするのでもないし、かといってすべてが理解しやすいわけでもない。

それぞれが不十分なのではない。各ポイントが十分すぎて、かえって全体のバランスを崩しているようなのだ。それぞれの魅力を伝えようとしすぎて、失敗してしまったような感じがする。本当に残念な作品だ。
ただそれらのバランスの悪さとは別次元に、この作品の柱となり得るのは主演のシャーリーズ・セロンである。彼女の魅力についていけば、この作品は満足できるといっていいだろう。
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by murkhasya-garva | 2006-03-24 14:57 | 映画