休止中。


by murkhasya-garva
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女

「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」
b0068787_17494378.jpgファンタジーものが次々と世に出る中、とうとうこの名作までも映画化されたか…。小学生の頃、引き込まれるように読んだ記憶がある。とはいえ、もう10年以上前の話。ろくに覚えちゃいないが、秘密の抜け道を通って異世界へと旅立つ、という設定が当時の自分にはたまらなく魅力的だった。

異世界での夢溢れる冒険劇。ディズニーが手がけるナルニアは、どれほどの感動を与えてくれるのだろうか。原作はC.S.ルイスの物語。

戦時中、空襲から逃れるためにピーターたち4人兄妹はマクレディ家に疎開する。ある雨の日、末っ子のルーシーはかくれんぼの最中に大きな衣装棚を見つけた。分け入った棚の奥には、なんと雪景色が広がっていたのだ…。

一言で言えば、皆が満足できる内容だといえる。夢の世界に飛び込む魅力を十分に味わうことができるのではないだろうか。さすがディズニー、ホームエンターテインメントは得意分野らしい。とりあえず、何観る?と迷ったときに選んでも外れることはない作品だろう。
分かりやすく、世界観に入りやすい。つまり、安心して観ることができるのだ。

だが、全年齢対象であるが故の欠点もやはり見つかる。
この手の作品の特長は、裏を返せば簡単に不満点となりえる。
まず誰でも安心して観られる、ということは、全編にわたって「お約束」で固められたものである、ということである。主人公=善は結果的に勝利し、ハッピーエンドとなることが分かっている。また奇抜なネタは極力排除される。そのために作品全体に緊迫感がなく、ともすれば退屈な作品ともなりかねない。
しかし誰にとっても見るに堪えるものであるには、作品全体の構図も単純でなければならないのだ。

全体を分かり易くするためには、全体の水準を下げる必要がある。つまり戦いが中心であれば、戦闘シーンも理解しやすい必要がある。ピーターと魔女の戦闘など、はっきり言って子供だましだ。剣技はゆっくりで、魔女までもが剣に関しては初心者に見える。しかし剣の重さを知らないかのように魔女が剣を振り回し、その剣はピーターの一撃で易々とたたき折られる。どう考えても現実感がない。

そして原作自体に関わることかもしれないが、魔女も4兄妹もいようといまいとナルニアの存続には影響なかったのではないか。アスランの存在が大きすぎて、結局どんなに猛威を振るっても魔女は見事に典型的な「悪」でしかない。それと同時に、アスランはその存在感で、結局ピーター4兄妹の行為すらもかき消してしまう。まるで彼らの戦いが茶番だとでも言わんばかりに。

しかし、そもそもナルニアが「夢」の世界であり、彼らの内面の反映だと考えると、ナルニアと兄妹の関係は意味がある。兄妹はナルニアに望まれて王になったのであり、その過程で戦闘をはじめとして様々な体験をした。ナルニアから戻ってきたときには、一回り精神的な成長を遂げていることだろう。つまり、ナルニアが必ずしも彼らを必要としていなくても、彼らにとっては必要な「通過儀礼」のための世界だったのだ。

また、オープニングでは戦闘機が夜空を飛び交っていた。あの戦火の中、当時のイギリスでは誰もが鬱屈した思いを抱えていたことだろう。そんな時に兄妹が覗いた世界は、彼らの行き場のなさを払拭してくれるものだと思う。当時の抑圧感からの解放、はけ口としてナルニアは彼らを待っていたのだ。

現実に、当時の閉塞感を抱えた人々にとって、「ナルニア国物語」は心を豊かにするものであったろう。未知の世界への冒険、主人公の勝利、精神的な成長。今の平和な時代にも語り継がれるこの名作は、原作の発表時期には、おそらく大変な好評を博したことだろう。

春休み、手始めに観るならこの作品だ。一緒に観る相手がいるのなら、なおさらである。原作の力も借りて、この映画はファンタジー作品としては上出来な部類に入るだろう。満足はできることだろう。
[PR]
by murkhasya-garva | 2006-03-22 17:51 | 映画