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by murkhasya-garva
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ニュー・シネマ・パラダイス

「ニュー・シネマ・パラダイス」
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トトの住んでいる村には映画館があった。映画は村の住人の唯一の娯楽であり、トトも多分に漏れず映画に熱中する少年であった。トトは映写室のアルフレードと仲良くなり、彼の手伝いをするようになる。ある日、映写中に目を放した隙にフィルムが燃え出し…

およそ15年前に世界の映画賞の多くを受賞した映画らしい。実に感動的な作品です。映画と共に育った少年が成長してゆくさまを描くのですが、この作品は30年以上も村に帰らなかった男の回想、という形でストーリーが構成されるのです。

何故彼は30年以上村に帰らないのか。彼に電話をするといつも違う女の声がする、と彼の母が言うのは何故か。根幹とも言うべきポイントはストーリーの展開によって次第に明らかになっていきます。

ぼくの好きなイタリア映画に「ペッピーノの百歩」というのがあります。実在した青年の生き様を描き出した作品なのですが、若者の感受性をありありと描写したという点でこの作品と非常に似ています。さらに言えば、友情や愛といった人と人の絆を描く作品については、イタリア映画界は他国よりも秀でているのかもしれません。

キャストで気になったのが大人のトトを演じたジャック・ぺラン。彼は「コーラス」でも、年経たピエールの役で出演しています。過去を回想するという形式が見事に共通しています。「コーラス」はこの作品を下敷きに作られたんでしょうか。

トトがアルフレードに「ぼくも11歳だよ。友達になって」という場面がとても印象的です。アルフレードは壮年の映写技師。トトの無邪気さが言わせたのでしょうか。アルフレードもそれに応え、トトをわが子のように扱います。トトに旅立たねばならない時が来るまで…。
お互いの年齢の差を埋める親愛、尊敬の情が胸を打ちます。

若者の成長は、人の成長の中で最も瑞々しく輝くのかもしれません。世界を知り、新たな感性が磨かれる時期。この作品でもトトの少年・青年時代が描かれるのです。友情、恋愛、それらが最も甘美な形で。
そしてそれらは、人々のつながりの温かみの中で育まれます。お節介とも見えるくらいの人々の繋がりこそ良き思い出となりえるのかも知れません。現代の社会から段々と薄れていっている感覚でもあります。

これらのエピソードを支えるのは音楽。殆どの人々が知っているであろう有名な旋律。バイオリンの繊細でノスタルジックな調べが、トトの世界と見事にマッチし涙を誘うのです。ぼくもラストあたりでグッときてしまいました。

おそらくこの作品が世界で高い評価を受けたのは、あまたある映画の中で、人々の持つ郷愁や青春時代の記憶をこの上なく甘美に紡ぎだしたからなのだと思います。先にあげた「ペッピーノの百歩」との差は、それがより万人受けする形に作り上げられたということに尽きるのでしょう。要は政治的思想の有無、ということか?

質が高く、良い作品だと思います。また観にいったら本当に泣くんじゃないだろうか。
「ミリオンズ」以来の感動。
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by murkhasya-garva | 2006-02-12 19:08 | 映画