休止中。


by murkhasya-garva
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

用心棒

「用心棒」(1961)
b0068787_18214811.jpg風来坊の侍が寂れた村に流れ着き、用心棒で稼ごうとするが、村では二つの極道一家が何かと小競り合いを続けていた。彼はそれを引っ掻き回して楽しもうとするが…

三船敏郎が侍役をやっている。名前なんてどうでもいいらしく外の桑畑を眺め「桑畑三十郎」、もうすぐ四十郎だとか名乗る。余裕ありげにぶらついて、小競り合いをはたでニヤニヤしながら見ている割には、刀を抜けば一級の腕前。それでいて人情には滅法弱いなんて、なんだかかっこいい。




そんなしぶいおっさん侍が演じる舞台は小さな村。不思議なことに、村自体の個性のようなものがありません。スクリーンに映し出される場所が非常に限定されているからでしょうか。また、登場人物はストーリーに絡んでくる人しか登場しません。余計な情報を排除し、内容を洗練させた印象が強いですね。

実際にストーリーは一本筋が通っていて、無駄なエピソードすらも挟まれていないんです。そのため物語を肩肘張らず純粋に楽しむことができるだけの作品に仕上がっている。これぞ映画の王道、とこの作品を評しても過言ではないでしょう。ある意味、エンターテインメントとしての映画を追求した結果というか。

だからといって話の流れまで単純化されているわけではありません。ヒーローであるはずの侍は、上手く立ち回っている時に彼の弱点ともいえる人情で手痛いミスをし、窮地に追い込まれます。確かにお約束といえばお約束なんですが、上手いタイミングでハプニングが起きるものだから思わず見入ってしまう。
これくらいはっきりと場面転換してくれると、観る側もすんなりと理解できるのかもしれません。

登場する脇役もキャラがはっきりしています。剣は強いが単純な猪(いの)、ぶっきらぼうだが人情味のある居酒屋の親爺、得体の知れなさを秘めた拳銃持ちの若(?)などなど。一人ひとりが敵味方問わず親しみを持てるんです。彼らが無理なく、しかし愛嬌たっぷりのキャラで立ち回るのは観ていて楽しくなります。

しかし、もしストーリーがテレビの時代劇にありがちな勧善懲悪を筋にしていたらこの作品は傑作になれなかったでしょう。二転三転するストーリーを支えているのはあくまで人間臭さの残る主人公であり、そこに焦点を当てているからこそ作品自体にもに魅力を感じられるのだと思います。

ただ残念なことに、昔の作品であるために音割れがおきているようでした。
結構大事な台詞を言っているはずなのによく聞こえない。それに登場人物みんなの台詞回しが早いような気もするし…。年輩の方々は所々で笑っているが、何で笑ってるのか分からんのです。おいおい困ったなあ、耳と頭どっちが悪くなったんだ…と内心焦っていました。
多分、年輩の方は何度か観ているから分かってて笑っているんだろう、と理解することにしました。

一度は観ておきたい名作です。黒澤明監督の作品が何故面白いか。それは今の映画と比べてどこが違うのかを知ることで、よりいっそう鮮明に分かるかも。
[PR]
by murkhasya-garva | 2006-02-07 18:23 | 映画