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by murkhasya-garva
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日本のいちばん長い日

「日本の一番長い日」(1967)
b0068787_014551.jpgラストショー@京都スカラ座。1月28日1本目。
終戦直前の一日を描いた作品。作品自体も157分ととても長いのだけど、相当に見ごたえのある作品。
今でこそ反戦運動の声が高く、戦争に関する作品は国内外問わず多く出ているが、これは明らかなプロパガンダを前面に押し出すことなく、しかし戦後世代に強くメッセージを伝える作品となっている。







ドキュメンタリーの要素が強いと思う。登場する政治家や軍人たちそれぞれが終戦にあたって苦悩の時をあくまで冷静に映し出す。本土で決戦を、と息巻く者もいれば、国内の軍事力の疲弊を、またはこれ以上の犠牲を出すことの無益さを理由にポツダム宣言の受諾を進めようとする者もいる。
国政の方針を正反対に変更しようというのだ。紛糾しないはずがなく、軍部を中心に会議は大もめにもめる。

ここで最も目を引くのが陸軍幹部の暴走。
若く血気盛んな幹部が陸軍大臣の指示とは別に、状況を一転させようとクーデターみたいなものを起こそうとする。各地域の司令官に翻意を促し、奔走する。2・26事件を引き合いに出し、自分の正当性を語ったりもする。
しかし事が容易に進むことはなく、彼らは次第に感情的になる。そのときの畑中少佐(黒沢年男)の表情がとても印象深い。純粋なまでの熱意、あまりの融通の利かなさ。目を見開いてにじりより、唾が飛びそうなくらい大きな声で熱弁する。あんまりにワーワー言うものだから、作中で完全に浮いていた。ウザいくらいだ。

ほぼ無理と分かっていながら、半ば意地のように騒ぐ幹部の姿が苛立たしい。
「よせ畑中、それが未練というものだ」そう言われて一瞬呆然とするのに、なぜ諦めることが出来ないのか。
玉音放送直前に、声を張り上げてビラをまく。誰にも届かないというのに。

全体を通して感じたのは、戦争という一大事を終える者の苦悩である。理性で割り切れない状況に至って、人は何を選択するのか。感情に走る軍部の克明な描写によって、彼らに批判的な視線を投げかけてはいるが、だからといってそれを無責任に嘲笑うことが誰に出来るだろうか。
文官にとってすら、宣言受諾は苦渋の決断であった。その状況に陥って、戦争終結を決然と主張することのできる人間が何人いることか。

彼らの苦悩と、そして一部の暴走によって失われた命をしっかりと見据えた上で、混迷する現代に最善の選択をしてほしい。そのような思いで製作者はこの作品を作り、上映者は今回のラストショーで放映を行ったのでは?と想像してみる。
ただ無責任に戦争の悲惨さを訴えることだけでは、説得力がないのだ。自分自身に問いかける真摯さをもってこれからの社会を考えてみたいものである。
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by murkhasya-garva | 2006-02-07 00:17 | 映画