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by murkhasya-garva
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愛より強い旅

「愛より強い旅」
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フランス映画界の今をときめく若手俳優、ロマン・デュリス主演作品。
彼の作品で観たのは「真夜中のピアニスト」「愛より強い旅」「ガッジョ・ディーロ」。男前でその若さゆえに悩み、迷う姿が似合う役柄のイメージが強い。
「ルパン」観とけばよかった~。


パリに住むジノ(ロマン・デュリス)は、自分のルーツであるアルジェリアへ行くことを思い立ち、恋人のナイマ(ルブナ・アザバル)と旅に出る。わずかな荷物で行く7000キロの道を、民族音楽と共にたどる。

思わず旅に出たくなるような作品。異国情緒が漂ってきます。行く先々での人との出会いを楽しむ魅力が良く伝わってきます。だからこそカメラは笑顔を映し出すことが多く、後ろの風景も鮮やかに見えるのでしょう。ツアーでは決して味わえない貧乏旅行ならではの魅力ともいえます。

密航したり、国境を越えられず手前で引き返したり、恋人とケンカしたり。何が起こるかわからない2人の道行きに飽きることはありません。ナイマは14歳から放浪生活を続けていて自由奔放。ジノがダンスに見入っている間に地元の男と寝てみたり。光の点る町を背に、暗闇を歩くジノの姿が何ともあわれ。
それでも2人はすぐに仲直り。果実をもてあそんで挑発しあうところはエロティックですね。

言葉で多くを語らず、2人の表情や仕草で心情描写がされる。また、ストーリーの構成に重点をおくのでなく、旅先のハプニングを道行きに従って無理なく映しているのが新鮮です。こういうのは映像化されてこそ、楽しさが伝わる。というのが前半の流れ。

対して後半は各人の内面に焦点が当てられます。疲れやあせりも手伝ってナイマの表情が変わってくる。民族性の違いが自分のアイデンティティを揺るがすのだろうか。ナレーションでの独白が目立ち、映像も工夫されてくる。「疎外感がある」という彼女の台詞は、光を失った瞳や、爪を噛む姿が良く語っています。
自分自身と相容れない世界に身を置くと、ああやって自分を見失ってしまうものなのだろうか。

そして目的地のアルジェリア。ジノもナイマもルーツを見出し、自ずと輝きを取り戻します。ここで注目しておきたいのがラストの踊り。ゆうに10分もかけて、しかも多分これはノーカットだろう、延々と彼らが陶酔していくさまが映し出されます。途中で寝てしまいそうなシーンを何故わざわざ最後に持ってくるのか。監督の熱意が込められていそうな気がする。恐らくこれこそが2人の旅の終着点なのだろう。過去の傷を清め、自分の根幹を地固めするためのイニシエーションを通過してこそ、彼らは将来を生きてゆける。

各地域の風景をおろそかにせず映し出し、異国への旅の魅力を伝えると同時に、若者にルーツを持つことの大切さを静かに語る。良い映画です。「モーターサイクル・ダイアリーズ」も良かったがこれもいい。監督はジプシーの映画を多く撮っているとのこと。彼ならではの魅力も出ているのではないでしょうか。
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by murkhasya-garva | 2006-01-31 18:11 | 映画