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by murkhasya-garva
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親切なクムジャさん

「親切なクムジャさん」
b0068787_1613758.jpgパク・チャヌク監督作品の復讐三部作の第三作目。「オールド・ボーイ」「復讐者に憐みを」で人間の陰惨にも苛烈な本性をむき出しにした。今回は、子を奪われ、殺人の濡れ衣を着せられ13年も入獄した女性の復讐劇を紡ぎだす。主演はイ・ヨンエ。「宮廷女官 チャングムの誓い」「JSA」に出演。
多くの映画評では「三部作の中で最も美しく、残酷な作品」と言われているんだっけ?


この作品が「美しい」と評されている理由には、まず復讐の仕立て方にクムジャのこだわりが見えるところでしょうか。先に刑期を終えた女たちに協力を仰ぎ、綿密かつ周到に復讐の準備を行います。自分はそれまでの清楚なイメージを捨て、赤いアイシャドウ、黒いコートに身を包む。復讐者としての決意を見せるためなのか。でもそんな準備が多くて復讐自体が少々不自然に見えてしまいます。

そして2つ目の理由は、オープニングあたりで特に見られる映像や音楽の美しさでしょうか。悲痛に流れる弦楽の調べ。キャストが表示されるときに横から伸びる細長いツタ。クムジャが眺める目の前に下りる赤い格子。黒いコートに真っ白な雪。復讐に手を染めた者は‘黒’を宿し、純粋な想いを持つ者は‘白’に身を包む。配色のコントラストが鮮烈な印象を与えます。

3つ目には、主演のイ・ヨンエ本人の魅力でしょうか。復讐者として決意し、無表情に見つめるその眼は大きく見開かれる。刑務所から出たときの顔はどこにでもいそうな女性だけど、準備の段階を進めていくうちに美しさが増していくようです。けど他多くの俳優とは少し違い、どことなく親しみやすい顔立ちをしている。非の打ち所がなく端整だ、というより、口元のしわや哀しげな表情が印象的だからでしょうか。それが魅力の一つなのかもしれません。

全編を通して語られる「復讐」ですが、少し気になる点があります。まず、犯罪行為が堂々と行われすぎ。治安はそんなにゆるいのか?短銃で撃たれた男はどうやって処理されたのか。
次に、子を取り返した後も復讐の炎を燃やし続けていられるものなのか?そもそも、相手は自分が犯罪の片棒を担いでしまった相手。いくら子を奪われ憎いとはいえ、連続殺人鬼への断罪と見れば復讐というより義憤を感じます。また、わざわざ他の家族を呼んで手を下させるのも、どうも自分にとっての贖罪行為(または責任回避?!)に見えてしまう。もちろん、殺される恐怖をたっぷり味あわせる意図なら成功したといえるのでしょうが。
そして、肝心の流血シーンはとても少ない。想像したほどの残酷さではありませんでした。

復讐3部作の締めということで製作へのこだわりが見えるような作品です。映像は文句なく美しい。観てみるだけの価値はありますが、感情移入は子を産む経験のない者にとって少し厳しかったです。近くで見てた女性は後半でボロボログシュグシュに泣いてたな。
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by murkhasya-garva | 2005-12-23 16:13 | 映画