休止中。


by murkhasya-garva
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運命じゃない人

さてさて人の記憶なんて生モノなわけでして。
早く感想を書いてしまわないと、内容を覚えてるぞ、なんて自認してもそのとき味わった感動なんてどこへやら。いつの間にか、こんな内容だったっけ…なんて目も当てられないことになるのです。名作になるとその後悔度は著しく上がる傾向にあるようです。。。

「運命じゃない人」
b0068787_17162713.jpg主人公の宮田武はその晩小さな幸せを手に入れる。一方、彼に関係する人々は2000万円もの大金をめぐる事件に巻き込まれていた・・・
この作品、タイムスパイラル・ムービーというジャンルなのだそうです。それぞれの登場人物の視点で何層もストーリーを重ね合わせることで、その夜の出来事が明らかになっていくのです。こんな感じの構成の映画は、たとえば「ユージュアル・サスペクツ」「メメント」「サマータイムマシン・ブルース」がありました。時間軸をさかのぼって真実がみえる、という類の作品です。
これらの中で本作品は一番丁寧でわかりやすく、なおかつ面白さがしっかり保たれているようです。


興味深いことに、見ている人たちの笑うポイントがほぼ同じなんです。ちょっとした仕草、台詞にクスッと笑ってしまうんですが、周りも同じところで笑ってる。
たとえば、神田の「お前、電話番号なめんなよ」という台詞。話し方もさながら、そのタイミングが絶妙なんです。神田役の山中聡の表情もまたいい。かっこいいのにどこか抜けていて、さえないキャラがすごくぴったり。少し眉を下げて「お前電話番号…」なんて言われたら、笑うしかないでしょう。
ほかにも、真紀が宮田のフォローでさらに泣いてしまうところ。涙をこらえきれず、「ぶふっ」といってしまうのは個人的に好きです。
また、神田の「早く地球に住みなさーい」で爆笑。最後に置かれるからこそ生きる台詞だと思います。

多分キャラの人物造形がしっかりできているんだと思います。だから微妙な仕草さえも納得できるし、安心して笑えるんだろう。
細かいポイントで数多くの笑いどころが用意されている。そのたびに思わず笑ってしまうのです。しかも周りの人もそろってよく笑う。楽に笑える、そんな雰囲気が自然にできていました。

先にも言いましたが、ストーリーの構成はそこまで目新しいものではありません。しかし、この作品の魅力は言うまでもなく、構成なんです。一人一人の視点に立って真実が確実に明らかになっていく。またその中で張られた伏線から、ほかの人物の秘密がまた明らかになる。
丁寧に解き明かされていく様は、見ていて爽快ですらあります。
ラストシーンも必見です。ああ、ここでも!という最後の落ちが感動モノです。

一つ一つの台詞までもが計算されているこの作品、相当丁寧に作りこまれていると見た。みて満足する1本だと思います。もっと大手で上映されてもいいのに。

余談ですが、チラシの挿絵は窪之内英策によるもの(中村靖日がおめでたい人みたいに、ものすごいアホ面で描かれています)。「ツルモク独身寮」が有名かな。彼のマンガもこんな感じで、「思わぬ波乱、小さな幸せ。」といった雰囲気が印象的です。彼が挿絵に協力したのも納得できる。内田けんじ監督はたぶん彼の作品が大好きなんだろう。。。
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by murkhasya-garva | 2005-12-02 17:20