休止中。


by murkhasya-garva
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

TAKESHIS'

「TAKESHIS'」
b0068787_3223066.jpg北野武監督第12作目となるこの作品。今まで彼が、いや多くの映画監督が持っていた方向性とは一線を画し、進めば進むほどに混迷を極めるものを作り上げてしまった。ヴェネチア国際映画祭では評価は真っ二つに分かれ、多くの新聞では酷評されたという。
「50年後に再評価される映画」といわしめたこの作品、日本ではどのように受け止められるのだろうか。

興奮しました。いや、それまでいろんな映画に興奮してきたわけですが、これはまた違う。どこまでも想像、読みが追いつかない。その混迷の度合いたるやすごい勢いで進んでいくのです。ああ、2つの現実を平行させているのか、と思っていると、「北野武」の夢が現実との境目を失っていく。夢は現実になだれ込み、「ビートたけし」の世界を侵食する。いったい何なんだこれは。

大体、筋のない作品は自分自身「訳が分からん」「何がやりたいんだ」「何も伝わってないやん」などなど文句を垂れていっちょまえにこき下ろしたりするんですが、この作品に限ってはほとんど出てきません。むしろ、たまらん!面白すぎる!!といった類の感想ばかり。

製作者側が意図して混乱に導いているのが分かるようです。「観客から感想が出ないような作品にしたかった」…だとすればこれは成功ではないでしょうか.スタッフロールの瞬間、「ああッ、やられた!!」と思わずつぶやいてしまいました。よくもまあここまでやってくれたもんだ。

余談ですが、作品の形式に「入れ子構造」というのがあります。例として、
「男が一匹の狐を捕らえて腹を割くと、中からまた狐が一匹出てきた。その腹を割いたら、また狐が出た。その腹を割いて、ようやく臓物が出た。三匹の狐は不思議なことに、みな同じ大きさだった。」(「異苑」77「狐の中から狐が出る」)
つまりひとつの中に何か、またその中に何かが入っていて・・・というやつですね。
その形式に似てないこともないんだけど、なんというか互いが互いを侵食しあっているような感覚からは、さらに、入れ子が融け出しているようにすら思えます。

また、THE STRiPESのダンスがとても存在感を放っています。実は「座頭市」でのラストのダンスはあまり好きじゃないんですが、この混乱した舞台だからか、すばらしく気の利いたアクセントに思えます。

何度も何度も北野武の前に現れ、ちょっかいを出し続ける岸本加世子や、ダンスを一手に引き受けるTOSHI、チンピラ役の寺島進やその女の京野ことみ、そして北野武/ビートたけしの存在感…。見ていてくらくらします。一種の恍惚?というやつです。
監督も「分析するには2回以上・・・」と言ったそうです。この偉業/異形の作品がどんな形なのか少しでも見極めるため、もう一回は観に行きたいですね。

賛否両論がはっきり分かれるよな~と実感しましたが、さて観た方はどう思いましたか?
[PR]
by murkhasya-garva | 2005-11-30 03:25 | 映画