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休止中。


by murkhasya-garva
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青空のゆくえ

「青空のゆくえ」
青空のゆくえ_b0068787_16503477.jpg
さて閑話休題、というわけではないんですが、ここのところブラックな作品が目白押しだったのでふらりと観に行ってしまいました。






それは一服の清涼剤のような作品だった。見ていて気持ちの良くなるものでした。
大切な友達がアメリカに転校することになった。彼、高橋正樹が転校することを知らされていなかった周りの友人は戸惑いを隠せない。正樹は、ひとつだけやり残したことがあると言った。
今まで彼のことはそこまで意識していなかったのに、転校という事実が皆の気持ちを少しづつ変えていく。一体彼のやり残したことは何なのか。
正樹が転校していくまで1ヶ月。彼と彼の友人の気持ちの揺れがあざやかに描き出される。

あっちゃーこんなさわやかな映画おれには観れねえよ・・・
とまあそんなことぼやきそうになりながらニヤニヤして観ておったわけです。
こんな青春なかったよな~、と以前にも言ってたような気がしますが、今回もそんな感じ。本当にね、清涼剤なんです。ストーリーも、登場人物もさわやか。特に、中心にいる高橋正樹(中山卓也)は、あっけらかんとしていて憎めない。彼みたいなのがいたらそりゃもてるだろう。
背景に映る景色もとてもきれい。日差しが強い夏の日、彼らの姿は鮮やかに浮き上がると同時に、どこかに残してきた美しい思い出のように描き出されます。

そう、『思い出』なんです。それは、登場人物がどこまでも等身大であるということ。また、設定がどこにでもありそうな現実そのものにあること。そして、映画作品として、大きなテーマ、もといメッセージ性が前面に押し出されているように見えないこと。

美しい思い出を振り返るとき、思わず目を細めてしまいます。それが中学生の頃だったら…。
恋よりも少しまだ早く、でもお互いのことを意識し始める時期なんでしょうか。高橋正樹の周りで、夏休みという時期も影響しているのか、恋心がさまざまな形で動きだします。幼馴染の春奈(多部未華子)、学校で何かと面倒を見てもらっていた貴子(結城早矢)、束の間のデートで急に意識するようになった亜里沙(黒川芽以)、バスケ部キャプテンの速見有美(森田彩華)、帰国子女の市田尚子(西原亜希)。
こう見ると本当に正樹はもててますね。こんなんあるか!現実的じゃないってか。まあまあいいじゃないか。

この作品を"一片の夏の思い出"にしているのは、これだけではないはず。
というのは、中心人物は高橋正樹なんだけど、その周りにいた5人の少女の視点に焦点があるように思うからなんです。例えば彼をレジから見上げる春奈の目線はとても印象的です。ラスト、5人で屋上に集まるのを見ると、実は彼女たちが主人公だったんじゃないのかとも思うほどです。というかそうかもしれない。

転校してしまった大切な友達・・・自分たちの心の中に短い間だけど大きい存在になった人がいた、というのは、まさに甘美な思い出の一片ともいえるのでは。
また、この美しく、切ない作品を演じた俳優たちの役が上手い。それぞれの役が十分に生きていたと思います。ごく自然に各キャラを演じていて、思いがにじみ出るような表情を皆していたのがとても心に残ります。

中学生日記?とか食わず嫌いなことを言わずに観てみて下さい。等身大の姿を演じていて、違和感なく観られると思うんですが。特に同世代の少年少女にオススメです。
現にキネマ旬報では、映画感想文で「青空のゆくえ」の感想文が入選していました。
まずはご覧あれ。
by murkhasya-garva | 2005-11-21 16:52 | 映画